あなたへ
気が付けば、桜の花が開き始めたと、
あなたへこんな報告をしたのは、
私の誕生日の日のことでした。
こうして改めて振り返ってみると、
あの頃の私の視界には、
あの子の笑顔しか入っていなかったのかも知れません。
あの子が巣立ち、改めて、此処に見える景色を眺めてみれば、
満開の時期を僅かに過ぎて、
少しずつ緑色へと変わりゆく桜の景色でした。
今日の私は、近所の公園へと立ち寄って、
桜の景色を眺めながら、
ゆっくりと、巣立ち前のあの子との時間を振り返りました。
巣立ちの日までを、あの子と2人、
バタバタと忙しない時間を過ごしましたが、
慌ただしく過ぎ行く時間の中には、
あの子との大切な思い出ばかりが詰まって行きました。
今の私の胸の中には、
あなたにも話したいことが、山のように詰まっています。
あの子と2人、バタバタと過ごした日々は、
あなたへの手紙を綴る時間もなく過ぎて行ったけれど、
これから少しずつ、
巣立ち前のあの子と過ごした私が、
どんなに素敵な時間を過ごしていたのかを、
あなたにも伝えていきたいなと思っています。