拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

朝のあの子の成長

あなたへ

 

あの子が此処から巣立ち、1か月と少しが経ちました。

 

この1か月余りのあの子の成長を、遠くから見守ってきましたが、

私が特に大きな成長を感じているのは、朝のあの子です。

 

あの子の成長をすぐ側で見守った日々の中、

たくさんの、あの子なら大丈夫、を見つけて来ましたが、

実は私が、そして、あの子自身も心配していたのは、

毎朝、ひとりでちゃんと起きられるだろうかという点でした。

 

あの子を育てる中での朝のあの子については、

あなたへも時々手紙に書いてきましたが、

あの子は成長と共に、非常に朝が弱くなりました。

 

此処から巣立ったから、

社会人になったからと、突然に、全てが出来るわけではないように、

突然に毎朝、自分で起きられるようになるわけでもないのだろうと、

実は、あの子が新しい生活に慣れるまでの間、

毎朝、メッセージを送ることにしたのでした。

 

おはよう

起きてる?

 

毎朝のあの子へのこんなメッセージを送る時間が、

新たに生まれた私にとっての大切な時間となりましたが、

 

おはよう

今、起きたよ

 

こんなメッセージが届くこともあれば、

時には、私よりも随分と早くに起きて、

 

朝ご飯を食べているところだよ

 

とか、

 

丁度、筋トレをしていたよ

 

なんてメッセージが返ってくるのです。

 

今日も、あの子はちゃんと自分で起きることが出来たんだなって、

あの子からのメッセージに安堵しながら、私の中で蘇ったのは、

これまでの朝のあの子の成長でした。

 

ヤバい!時間がない!って、

いつでもバタバタと朝の支度を整えていたあの子は、

決して、寝起きは悪くはなかったはずなのに、

いつの頃からか、ジョニーが誕生して。

 

その眠りを妨げる私に対して、鋭い眼差しで睨み付けてくる彼には、

思えばかなりの手を焼きました。

 

普段の温厚なあの子からは全く想像もつかないあの姿はきっと、

私だけが知っている朝のあの子の顔。

 

私からの手紙を読みながら、きっと、あなただって疑ったはずよ。

え?あの子が?本当に?って。

 

凶暴さの隙間から、少しずつ見えるようになったのは、

敬語が使えるようになったお兄さんジョニー。

 

ジョニーには、毎朝、手を焼いていたはずなのに、

ジョニーの成長を感じながら、

少しずつ、ジョニーへの愛着も生まれて。

 

私はジョニーを産んだ覚えはありませんが、何故だかその成長に、

愛おしささえ感じてしまった日もありました。

 

やがて、朝のあの子の正しい起こし方を発見したのは、

あの子が筋トレへと目覚めてからのことでした。

 

その頃には、すっかりとジョニーの姿が見えなくなり、

ジョニーとの闘いの日々を懐かしく思いながら、

あの子の大きな成長を感じたのでした。

 

あんなに朝が弱く、何度起こしても起きなかったあの子が、

余裕を持った時間に、ちゃんと自分で起きられるようになり、

しっかりと朝ご飯を食べて、

筋トレまでをしてから仕事へと向き合うあの子へと成長するだなんてね。

 

巣立ちというのは、

本当に人を大きく成長させるものなのだと感じています。

 

記憶に新しい朝のあの子の姿は、この冬のあの子。

あまりの寒さに、

あの子ミノムシから、サナギへと変わったあの子は、

あれから春を迎え、

立派な蝶へと変容して、此処から巣立ったのだと思います。

 

あの子が巣立った後で、

僅かに残った私にしてあげられることにも終わりがやって来て、

今の私には、

此処から、ただあの子の幸せを願うことだけが残りました。

 

朝、起きられるようになったこと。

それはきっと、あの子にとっても、大きな自信へと繋がったことでしょう。

 

あの子はもう、全部、大丈夫。

 

きっと、此処から先も、あの子は、

力強く、前へ、前へと歩んで行くのでしょう。

 

 

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