あなたへ
新たな出会いが訪れた時というのは、
必ず、その時の自分に必要な色を足してくれる人との出会いであるのかも知れないと、
こんな手紙を書いたのは、今年の春の頃のことでした。
あの頃の私が置かれた環境は、
あの子が此処から巣立ったこと以外、特に新たな出会いもなく、
今の私にはきっと、特に足りない色はないのだろうなって、
そんなふうに感じていたのでした。
こうして振り返ってみれば、あの頃の私にとっての時間は、
ひとりで生活をすることに慣れるための時間だったのかも知れません。
既に自分の中に取り込まれた色を大切に、
少しずつ少しずつ、自分なりに成長を重ねて行けば、
やがて自分にとって新しい色が必要となる時というのは、
突然に訪れるものなのでしょう。
今、私は、初めての場所で、様々な初めてを経験しています。
この場所では、
ほんの少し前までは知らなかった景色や風、
そして、ほんの少し前までは知らなかった空の色を知ることが出来ました。
きっと此処には、今の私にとって必要な色があるんだろうなって、
今日の私は、あの手紙を書いた時に感じていた気持ちを思い出していました。
例えば、新しい物事を始めてみようと思い立った時というのは、
無限に道があるようにも感じますが、自分の歩むべき道というのは、
全く別なところに準備されているということもあるのかも知れません。
飛び込む意思など、全くなかったにも関わらず、
導かれるようにして、新たな環境と出会うことが出来ました。
この場合へ辿り着いた経緯を振り返ってみれば、
なんだかとても不思議ですが、
それはやはり、自分にとって、
本当に必要な色だけを集めるためだからなのだと、言えるのかも知れませんね。
此処から見る空の色が好き。
こんな新しい環境の中で、
これからの私には、どんな新しい色が染まり、
私はどんなふうに成長することが出来るのでしょうか。
ほんの少し前までは知らなかった景色を楽しみながら、
相変わらず、自分のペースで歩み続けて行けたらいいなと思っています。