拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

タイムスリップ説と遺伝子説

あなたへ

 

え?あの人って・・・え?

 

とても驚きながら、偶然見かけたひとりの男性を、

思わずじっと見つめてしまったのは、

同じ高校に通っていた同級生とよく似た男性だったからでした。

 

いえ。

よく似ているどころか、ご本人としか思えませんが、何かがおかしいのです。

 

高校を卒業してから、随分と月日が経ちました。

あれから歩んだ年数分を考えてみれば、中身の成長だけでなく、

容姿に関しても、その年数分の容姿へと変わり行く筈ですが、

私が見かけた男性は、あの頃からタイムスリップでもしてきたのかと思うほどに、

全く何も変わっていなかったのです。

そう。

だからこそ私は直ぐに、気付くことが出来たのでしょう。

 

とても不思議な気持ちのままで、漸く彼から視線を外すと、

私の中での考察が始まりました。

 

先ず私が考えたのは、タイムマシンが存在する説です。

 

実は彼はタイムマシンの開発に携わっていて、

様々な時代を自由に行き来しているのではないかと考えました。

 

偶然彼がこの令和の時代へ来ているところで、

かつての同級生、

いえ、彼にとっては今の同級生である私が、

偶然、彼を見つけてしまったのかも知れません。

 

それは彼にとって一大事であるのでしょうが、

仮にそうだとしても、彼が今の私を見ても、絶対に気付くことはないのでしょう。

だって此処にいる私は、

色々な意味で、あれからの年月をしっかりと歩んだ私ですから。

故に彼は、私になど目もくれなかったのかも知れません。

 

そして次に考えたのは、彼の遺伝子を引き継いでいる説です。

 

私が22歳のあの子のお母さんであるということは、

彼もまた、あの子と年齢の近い子のお父さんであっても、

不思議なことはありません。

 

確かに遺伝子の持つ力というのは、とてつもないものです。

幼かった頃のあなたとあの子の写真を並べたら、

同一人物にしか見えなかったのは、今でもとても印象に残っている出来事。

 

私が偶然見かけたのは、彼の血を引く、

彼とよく似た子であったという可能性も考えられるのかも知れません。

 

初めて体験したこの不思議な出来事についてをあの子に話したのは、

先日のことでした。

 

あの子もまた私の話にとても驚いていましたが、

あの子は、同級生の血を引く子ではないかと推測しました。

 

仮に同級生の子であったとしても、その子を見かけるというのは、

それはそれで物凄い体験だと、あの日の私たちは、盛り上がったのでした。

 

さて、私が見たのはタイムマシンに乗って来た同級生だったのか、

それとも彼の遺伝子を持つ子であったのか、

または、それ以外の何かもっと大きな秘密が隠されたことであるのか、

真相を追求することは出来ませんが、

なんだかとても面白いものを見つけてしまったようにも感じています。

 

こんな私の話に、あなたなら、どんなふうに推測するでしょうか。

 

こんな時のあなたはきっと、

私が知らない全くの別な視点から推測し、

面白い話を聞かせてくれたのでしょう。