拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

記憶という贈り物

あなたへ

 

私ね、今でもよく覚えているよ。

 

灰色になってしまったこの瞳に映る景色に、

あなたが青色を染めてくれた日のことを。

 

私をギュッて抱き締めてくれた日のあなたがくれた温もりを。

 

頑張れ、頑張れって、あなたの声が届いた日のことを。

 

そして、

頬を寄せ合って、ただただ抱き締め合った日に感じた温もりを。

 

元気がない日に見上げた空に、龍によく似た雲を見つけたことも、

出来過ぎなくらいにとても綺麗な、

大きなハート形の雲を見つけたことも、

ふわりと優しく包み込まれるかのような幾つもの温かさも、

全部、ちゃんと覚えてる。

 

そうそう。それから、一度だけ、

そちら側のあなたと喧嘩をしたことも、私の大切な思い出。

 

そちら側へ見送ってから、

これまでのあなたがくれた思い出の数を数えていました。

 

あなたのその温かな手を離した私には、

もう、あなたとの新しい思い出が増えることはないのだと、

そんなふうに、

この世界で過ごしたあなたとの思い出を抱き締めて、泣いていた頃もあったけれど、

でも、本当はそうではなかったのかも知れません。

 

肉体を持たないあなたはもう、此処にその姿はないけれど、

あの夏からのあなたもまた、この記憶へと残る思い出を、

私に贈り続けてくれているのだと思いました。

 

青色の小物入れ、MP3プレイヤー、きのこの置き物。

この世界にいたあなたがくれた形のある贈り物の中には、

壊れてしまったものもあるけれど、

それらを私にプレゼントしてくれた日のあなたがくれた記憶が、

決して私の中から無くならないように、

そちら側のあなたがくれた記憶もまた、

私の中から決して無くなったりはしない。

 

この世界にいたあなたがくれた思い出も、

そして、

この世界から旅立ったあなたがくれた思い出も、

それら全ては私の記憶となって、私の中へと蓄積され続けているのです。

記憶は、絶対に無くすことのない贈り物とも呼べるのかも知れませんね。

 

いつの日か、私にも、この肉体を手放す時がやって来るけれど、

この人生で集めた大切な記憶たちはきっと、永遠に私の一部となるのでしょう。

 

この世界であなたと出会ったことも、

あなたと笑い合ったことも、

あなたと家族になれた日のことも、

小さな小さな命がこのお腹に宿ったことを知った日のことも、

家族3人で過ごした日々のことも、

そして、

そちら側のあなたとの思い出も、

その全ての記憶が永遠に、

私という存在の一部として、きっと輝き続けるのです。

 

ねぇ、あなた。

こうして考えてみれば、

記憶ってさ、唯一無二の形をした特別な贈り物なのかも知れませんね。

 

 

 

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