拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

この人生の中で1番長くお札を眺めた日

あなたへ

 

ねぇ、あなた見て?

これが新しいデザインの千円札だよ

 

こんな私の声は、あなたのところまで届いたでしょうか。

 

遂に私の手元にやって来てくれたのは、

新しいデザインの千円札です。

 

まだ全く折れ目のないそれと、

手元にある旧デザインとなったお札とを見比べてみて初めて、

旧千円札にはなかった3Dホログラムがあることに気が付きました。

 

なんとホログラムの中にいる北里柴三郎の肖像が、

角度によって回転するのです。

 

インターネットで、新しいデザインのお札を眺めたのは、先月のことでした。

新しいデザインのお札についての説明書きも、

確かに一通り目を通したはずですが、あの日の私は、

人物やお札の全体的な色合いにばかりに着目していたような気がします。

 

3Dホログラムのことなど、全く頭に入っていなかった私は、

新デザインのお札を手にしてみて初めて、驚いてしまいました。

 

画像で見るのと、本物を手に取って見るのとでは、

着目する場所が大きく異なるものなのかも知れませんね。

 

改めて、インターネットで調べてみれば、

このような技術を銀行券へ採用したのは、世界初だと言うではありませんか。

驚きです。

 

私は、この人生の中で、こんなにも長い時間、

お札を眺めたことがあったでしょうか。

 

こちらを向いた北里柴三郎さん。

そして、ゆっくりと角度を変えれば、

ゆっくりと斜め方向を向く北里柴三郎さん。

3Dホログラムの中にいる北里柴三郎さんを、ついつい楽しんでしまいました。

 

子供の頃に、お金で遊んではいけないと叱られたことがありますが、

これは、決して遊んでいたわけではなく、

私なりのお札の技術に対する賞賛の儀なのです。

 

そのデザインを十分に楽しんだ私は、

早速、この千円札を使ってみたいとも考えましたが、

新デザインの千円札をあの子にも見せてあげようと思い立ったのは、

あの子からの連絡が入ったからでした。

10日の夜に、そっちに帰ることにしたよって。

お盆の帰省の連絡です。

 

買い物へ出掛けても、ATMを利用しても、

新デザインのお札には、なかなか出会うことが出来ません。

新デザインのお札が日常の景色の中に当たり前に取り込まれて行くのは、

きっともう少し先になるのでしょう。

現金を殆ど使わないあの子は、

きっとまだ、新デザインのお札を目にはしていない筈です。

 

新デザインの千円札を使うという楽しみは、暫く先になりそうですが、

この新デザインのお札を目にしたあの子は、

どんなふうに驚くのだろうかと、なんだか今からとても楽しみです。

 

お札のデザインが変わったことによって、

思いもよらなかった楽しみをひとつ見つけてしまいました。

 

 

 

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