拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

私だけの雷との向き合い方

あなたへ

 

この夏の私は、もう、

何度くらいあの呪文を唱えたでしょうか。

 

クワバラクワバラ

 

新しく手に入れたばかりの呪文を唱えながらも、

想定よりも大きく鳴り響いた轟音に、

思わず飛び上がってしまったのは先日のことでしたが、

それでも心のどこかに余裕が生まれたような気がするのは、

やはり、私が手に入れた呪文が強力な呪文だからなのでしょう。

 

先日の私は、轟音に飛び上がりながらも、

ふと、笑いが込み上げてきてしまいました。

それは、あなたのお陰なのです。

 

酷い雷雨に見舞われたあの日の私の中へと蘇ったのは、

我が家のグループラインの中に残されていたあなたが送ってくれた文字でした。

 

あれは、あなたが一般病棟へと移れたある日のことでした。

突然の酷い雷と豪雨、そして、大粒の雹にまで見舞われた日があったことを、

あなたは覚えていますか。

 

家族3人、別々の場所にいたあの日。

グループラインの中で、一番初めにメッセージを送ってくれたのは、

あなたでしたね。

大丈夫?って。

 

別々の場所から同じ空を見上げて、

それぞれに無事であることを報告し合いながら、

窓際のベッドであったあなたのことが心配になって、

窓から離れた場所に避難しておいた方が良さそうだねって、

こんなメッセージを送れば、あなたから届いたのは、

雷を見たいから、少しだけブラインドを開けて外を見ているよって、

こんな言葉でした。

 

このメッセージのやり取りから数日が経ち、

私たちは、あなたのその手を離さなければならなくなりました。

 

封印されていた記憶を辿るかのように、

我が家のグループラインの中にある文字を何度も辿るようになったのは、

あれから10年の月日を迎えた今年のこと。

 

何度も、あの頃のあなたの文字を辿りながら、

やがて私は、全くの別な視点を見つけて思わず呟きました。

え?あなたって、そっち側だったの?って。

そっち側。即ち、しーちゃん側です。

 

初めて見つけたしーちゃん側という視点は、

私のツボにピタリと嵌り、あなたの文字を見つめながら、

思わず笑ってしまいました。

 

今年の夏の始まりには、雷除けの呪文を手に入れた私ですが、

あれから何度かの雷に遭遇しながら、やがて、

あの夏にいたあなたが送ってくれた文字のお陰で、

全くの別視点から雷を捉えることが出来る様になりました。

それは、あなたがしーちゃん側の人だったお陰なのです。

 

きっと来年も再来年も、その先もずっと、

雷の音が鳴れば、私は、とっておきの呪文を唱えながら、思い出すのでしょう。

あなたがしーちゃん側の人であることを。

そうして、轟音に飛び上がりながらも、私はきっと笑ってしまうのよ。

 

これは、私だけの雷との向き合い方と呼べるのかも知れません。

 

昨年からの課題であった雷との向き合い方を見つけることが出来た私はきっと、

これから先の夏を無敵に過ごすことが出来るのでしょう。

 

 

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