拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

貴重な体験

あなたへ

 

この道を通ればね、ここに出るんだよ

ちょっと道が狭いけれど、簡単でしょ?

 

これは、いつかのあなたの言葉です。

 

ショッピングモールまでの道のりについて、

混まない道があれば良いのにと、なんとなく口にしたいつかの私に、

あの道を教えてくれたのは、

ショッピングモールが出来てから、どれくらいが経った頃だったでしょうか。

 

大きい通りに出たら、真っ直ぐに真っ直ぐにどこまでも。

目標を見つけたら、左に曲がって、

更に真っ直ぐに進めばショッピングモールへ到着。

 

狭い道はあまり得意ではないけれど、ショッピングモールへ行く時には、

あなたが教えてくれたあの道を、私のルートにしようと決めたのは、

やはり混雑することもなく、そして、とても覚えやすい道だったからでした。

 

ショッピングモールへ行く時だけ。

さほど縁のなかったはずのあの道と、突然に縁が深まったのは、

数ヶ月前からのことでした。

 

まさかあの頃のあなたが教えてくれたあの道を、

あれからずっと先の未来の私が毎日通ることになるだなんて、

あの頃の私は、想像もしていませんでしが、

今の私がご縁をいただいた場所へは、

実はあの頃のあなたが教えてくれたあの道を使って通うことになりました。

 

相変わらずに、狭い道は得意ではないけれど、

あの道を通る度に、私の中へと蘇ったのはあの頃のあなたの声でした。

 

この道を通ればね、ここに出るんだよ

ちょっと道が狭いけれど、簡単でしょ?って。

 

あの頃、あなたが教えてくれた狭い道に沿った形で、

新しい道路の工事が行われていることを知ったのは、

今の私が通う場所とのご縁をいただいたことがきっかけでした。

 

この辺りも、いつかは景色が変わるんだね

 

こんな気持ちで工事中の道路を横目に見ながら、

あの、狭い道を通ることも日常となっていましたが、

侵入禁止とされていた道が、突然に開通していたのは先日のことでした。

 

突然に景色が変わった日に、私は、

開通したばかりの道を通るという初めての経験をしました。

 

この道が開通してから、私の車は何番目に通ったのだろう。

真新しい道を初めて通った日には、思わずこんなことを考えてしまいました。

 

もしもあの頃、あなたからあのルートを教わっていなければ、

今のご縁をいただく場所へは、

全く別なルートから通っていたであろう私はきっと、

こんな貴重な体験をすることもなかったのでしょう。

 

人生とは不思議なものだと、何度もこんな視点を見つけて来ましたが、

あの頃のあなたのお陰で私は、またひとつ、

知らなかった景色を知ることが出来ました。

 

あなたが知らない真新しい道は、広くて、景色も良くて、

綺麗な空を見ることの出来る道です。

 

 

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