拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

昔の人の携帯番号

あなたへ

 

060から始まる電話番号が開放されるのだと、

こんなニュースを目にしたのは先日のことでした。

 

思えば、電話と言えば自宅に設置された電話が一般的だったのは、

随分と昔の話。

 

ひとりにつき1台の携帯電話は当たり前という時代へと移り変わりましたが、

ひとりで複数台の携帯電話を所有することも、決して珍しくはないのでしょう。

 

思えば社会人になったあの子も、自分の携帯電話と、

会社から支給されている携帯電話の2台を所有しています。

 

時代はどんどん進化するんだなって、こんな気持ちで、

見慣れない060という数字を見つめながら、

ふと、私が思い出していたのは、いつかのあの子の声でした。

 

090から始まる電話番号を使っている人ってさ

昔の人ってイメージがあるよね

 

気が付けば、随分と長く使っている私の携帯番号を、

昔の人の携帯番号だとあの子に笑われたのは、

いつの頃のことだっただろう。

 

この世界では、時代の移り変わりと共に、

あなたが知らなかった景色へと、どんどん変わり行きますが、

それに伴って、価値観も変わり行くものなのかも知れません。

 

これを機に、携帯番号を新しいものにしてみようかしらなんて、

なんだか、新しい携帯番号が気になってしまった私ですが、

やっぱり、辞めておこうかな。

だって、今の私が使っている携帯番号は、

あなたと一緒に、変えたものだから。

 

ねぇ、あなたは覚えていますか。

 

まだ小さかったあの子と家族3人で、家電量販店へと出掛けたあの日、

携帯電話コーナーを見て回りながら、

新しい機種に変えようか

それなら、電話番号も新しいものに変えようかって、

思い付きでこんな話になって、2人で新しい携帯番号へと変えたのよ。

 

あの後の私たちに待っていたのは、家族や友人知人、会社の人なんかに、

連絡先が変わったことを知らせなければならないという作業でしたが、

あの、少しだけ面倒な時間も、こうして振り返ってみれば、

なんだか楽しかったですね。

 

あの日、あなたと2人で変えた携帯番号は、

今も変わらずに、私の手の中にあります。

 

ねぇ、あなたは、

今でも私の携帯番号覚えているのかな。

 

もしも、このまま一生、

この携帯番号を使い続けたとしたのなら、

いつの日か、一度くらい、そちら側から電話をくれるのかしら。

 

そんな期待を込めて、私は、

いつかのあの子曰くの、

昔の人のイメージの携帯番号のままでいようかなと思っています。