あなたへ
どうしても、カップ焼きそばが食べたい!
こんな衝動に駆られたのは、先日の私です。
キッチンの扉を開けてみれば、買い置きのカップ焼きそばを発見。
食べたいと思った時に、
すぐにそれを食べることが出来るのは、とても幸せなことです。
嬉々としながら、早速、
見つけたばかりのカップ焼きそばにお湯を注いで、待つこと3分。
お湯を切って、ソースをかけたところで、
突然に蘇ったのは、あなたの声でした。
え?俺の分までソース入れて混ぜてくれたの?
優しいね
ありがとうって。
これは、結婚したばかりだった頃のあなたの声。
あの日は、そう。
確か、2人で夜更かしをして、お腹が空いてきて。
カップ焼きそばを食べようかって、そんな流れになった夜でした。
2人分のカップ焼きそばにお湯を注いで、3分間が経って。
それぞれにソースを入れて、
麺をかき混ぜているところへあなたが側に来て言ったのよ。
俺の分までソースを入れて混ぜてくれたの?って。
あの時のあなたの声は、本当に驚いているような声で、
それでいて、とても嬉しそうで。
そんなあなたの笑顔に、私は別な意味で驚いたのでした。
だって私は、カップ焼きそばにソースを入れて、混ぜただけだもの。
私たちが初めて一緒に、カップ焼きそばを食べたあの日は、
こんなに些細なことで、この人は、こんなに喜んでくれるんだなって、
それまでの私が知らなかったあなたを発見した日でもありました。
私にとっては、当たり前のことでも、
あなたにとってはきっと、当たり前じゃなくて。
あなたにとっては、当たり前のことでも、
私にとっては、当たり前じゃなくて。
家族になったばかりだったあの頃の私たちは、あれから時間を掛けて、
時には、ぶつかり合いながら、
そして、それまで知らなかった優しさや温かさを互いに分け合いながら、
少しずつ、少しずつ、お互いを知り、家族になって行きましたね。
不意に蘇った新婚と呼ばれる頃の2人の記憶を辿ってみれば、
なんだか、胸の奥が温かく、とても幸せな気持ちになりました。
私は、あなたと共に人生を歩むことが出来て、
本当に幸せだったなって。