あなたへ
いつものスーパーでの買い物中、通路に見つけたのは、
只今お掃除中と書かれた札を下げたロボットでした。
初めて見たその光景に驚きながら、
たまたまロボットの進行方向と同じ方向にある売り場に、
用事がありますので風な顔をして、
私は思わず、ロボットに着いて行ってしまいました。
なんて言ったら、あなたはどんな顔で笑うのでしょうか。
ねぇ、あなたは信じられますか。
あの頃、家族3人で何度も出掛けたあのスーパーで、
お掃除ロボットが活躍する日が来るだなんてさ。
思えば、あのスーパーも、
あの頃とは随分と景色が変わりました。
大きく改装された店内の景色が、
やがて私にとっての見慣れた景色へと変わったように、
ロボットが店内を掃除する光景も、いつかは私にとって、
見慣れた景色へと変わって行くのでしょう。
それでもきっと、あのスーパーへ行けば、
不意に私にだけ聞こえる変わらない声があるのよ。
手でも繋ぎますかって。
どんなに景色が変わっても、
あの日のあなたの声も、笑顔も、その手の温もりも、
きっと何度でも、私の中へと静かに蘇っては、
あの頃、あなたの手の温もりを感じながら見つめた景色を、
何度でも思い出すのでしょう。
またひとつ、あなたにも見せてあげたい景色を集めながら、
そっと、あの頃、
当たり前に私の隣で笑っていたあなたを想いました。
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