あなたへ
今日の私が思い出していたのは、
あの頃の私が使っていた香水の香りでした。
紫色の香水、そして、水色の香水。
家族3人で、この世界を歩んでいた頃の私が持っていたのは、
2種の香水でしたが、あの頃の私が特に気に入って使っていたのは、
甘い香りのする水色の香水でした。
でも、あの水色の香水は、
2人には、あまり人気がありませんでしたっけ。
少し時間が経てば、悪くはない。
2人にとっては、こんな印象だったあの水色の香水は、
その香りを受け入れて貰うまでに、
毎度、ほんの少しの時間が必要でしたね。
出掛ける直前にその香水つけるのやめてよね!
2人からのこんなクレームが入ったのは、
いつの頃のことだったでしょうか。
時間に追われながら、漸く出掛ける準備を整えて、
香水をつけた直後に車へと乗り込めば、
車の窓を全て全開にされてしまったのも、
こうして思い返してみれば、なんだか笑ってしまう思い出。
あの頃の2人にとっては、迷惑だったであろうと思い返しながらも、
あの日のことを思い出せば、
なんだか笑いが込み上げて来てしまいます。
友人たちは皆、
あの水色の香水の香りをとても良いと褒めてくれていたけれど、
2人にとってのそれに対する印象は、全く違うもので。
身に纏う香りを選ぶというのは、
実はとても難しいものでもあるのかも知れませんね。
なんか凄く良い匂いがするね
これは今回、
帰省したあの子が車へと乗り込んだ時の言葉です。
あの日のあの子が褒めてくれたのは、
この秋に私が購入した香水の香りでした。
新しい自分になれたような気がしたこの香水は、
私にとって、お気に入りの香りとなりましたが、
出来ればあの子も、気に入ってくれる香りであったら良いなって、
実は、こんなことを考えていました。
だって、あの頃みたいに、窓が全開になるよりも、
良い香りだねって言って貰えた方が、やっぱり嬉しいもの。
思っていたよりも、高評価を得ることが出来た今の香水は、
更に私のお気に入りの香りとなりました。
あなたとあの子。
2人の似ているところは、これまでに幾つくらい見つけて来ただろう。
きっとね、香りに対する好みも、2人はよく似ているのでしょう。
だって、あの水色の香水に対する2人の反応は、全く同じだったもの。
あの子が褒めてくれた今の私が纏う香りは、
あなたも気に入ってくれたのかも知れませんね。