あなたへ
俺ね、こっちに帰って来ると、必ず星を見るんだ
これは、この年末年始に帰省していた時のあの子の声です。
今夜もまた、夜空へと携帯電話のカメラを向ければ、
不意に、夜空を見上げるあの子の姿が蘇りました。
星が綺麗だね
真っ直ぐに夜空を見上げたあの日のあの子は、
此処から見える空を大切そうに見つめていました。
今のあの子が歩む場所からは、星が見えません。
星が見えない場所で生活をするということに挑戦したからこそあの子は、
此方へ帰って来る度に、
星を眺める時間を大切にしたいと考えるようになったのかも知れません。
生まれ育った場所を離れてみて初めて、
自分がどれだけ素敵なものに囲まれて育って来たのかを、
知ることが出来るものなのかも知れませんね。
あの日の私は、
幼い頃からこの地で暮らす私には、知らない視点をあの子は知っているのだと、
こんな気持ちと共に、
此処から巣立ったあの子は、私が知らない景色の中を歩みながら、
随分と成長したのだと感じながら、あの子の姿を見つめたのでした。
毎日、遅い時間に帰宅するあの子は時々には、不意に夜空を見上げて、
此処に見える星空を重ねる日もあるのかも知れません。
そんな時のあの子は、どんな顔をして、
どんなことを考えているのでしょうか。
きっと今日のあの子も、遅い時間まで、
自分の道を歩むことでしょう。
あの子が今日も、笑顔でいてくれますように。
今夜の私はそっと祈りながら、眠りに就きたいと思います。