あなたへ
お母さんと話していると、いつも前向きな気持ちになれるよ
明日からまた頑張ろうって思える
あの子のこんな声が聞こえて来たのは、先日のことでした。
あの子が巣立ってからの私は、あの子の巣立ち前と同じように、
いえ、それ以上に、
心を込めてあの子を褒める時間を大切にして来ました。
明日からも、あの子が元気に歩むことが出来ますように。
この言葉たちが、遠く離れた場所で活躍するあの子の背中を、
いつでも押し続けることが出来ますようにと、願いを込めて。
今の私にとって、あの子との電話の時間は、
あの子の中へとお守りを詰め込む時間でもあるのです。
あの子が此処から巣立ったばかりだった頃は、
毎日掛かって来ていた電話も、
数日おき、1週間おき、数週間おきと、
少しずつ間隔が開くようになって、
あの子の成長が凝縮されて届くようになったように、
私もまた、あの子への褒め言葉というお守りを、
凝縮した形でお届けするのです。
心を込めた褒め言葉を贈ることは、
相手の心の中にお守りを贈ることでもあるのかも知れないと、
こんなふうに考えるようになったのは、
子育ての終盤という時間を大切に過ごしていた頃の私でした。
巣立ちを迎えたあの子が、どんなに遠くに離れていても、
この言葉たちがあの子の背中を押し続けてくれますようにと願って、
あの子の中へお守りを詰め込む時間を大切に過ごしていたあの頃の私は、
あの子の中にお守りを詰め込む時間はきっと、今しかないのだと、
こんなふうにも考えていたけれど、
本当に大切にしていた時間というのは、
形が変わっても、続いて行くものなのかも知れませんね。
あの子の成長を見つければ、
あの頃の私にはなかった視点からの褒め言葉が生まれます。
それは、鮮度の高いお守りとも呼べるのかも知れません。
今のあの子に必要なのは、過去の私が詰め込んだお守りではなく、
今の私から今のあの子へ贈る、鮮度の高いお守りなのかも知れないなと、
あの子の声を聞きながら、
先日の私は、こんなことを考えていました。
こうして考えてみると、
過去のあの子の中に詰め込んだお守りたちが、
あの子の支えになってくれるのは、
私がこの世界から居なくなってからなのかも知れません。
それは、必要とした時に、
あの頃のあなたがくれた言葉が、私たちの心の中の引き出しから飛び出して、
今の私たちを助けてくれることときっと同じなのでしょう。
この生が此処にある限り、あなたの分と2人分の心を込めて、
あの子の中にお守りをたくさん詰め込んで行こう。
今日の私は、先日聞こえたあの子の声を反芻しながら、
こんなことを考えていました。