あなたへ
夜空の写真を撮って、
この瞳には映ることのなくなってしまった星の数を数えれば、
不意に蘇ったのは、
私の記憶には残ってはいない幼少期の頃の私のエピソードでした。
あれは、いつの頃のことだっただろう。
祖父母の家へ行った日に、
いつかの母が聞かせてくれたのは、幼かった頃の私の話でした。
毎年のお盆には、祖父母の家に泊まりに行くのが、
私たち家族の過ごし方でしたが、
夜には祖父母も交えた皆で花火をすることもまた、毎年の恒例でした。
物事がつく前の私は、花火を終えると突然に、
庭に寝転がったのだと言います。
そうして私は、そこにいる皆を誘ったようでした。
ここに寝転がってごらん
星が綺麗に見えるよって。
自然に囲まれた場所にある祖父母の家から見る夜空は、
とても綺麗な星空で。
夜の時間帯に外へと出れば、何気なく夜空を見上げていた私はきっと、
物事がつく前からずっとそうしていたのでしょう。
不意に蘇った幼少期のエピソードを反芻してみれば、
私の中へと聞こえたような気がしたのは、
いつかのあなたの声でした。
庭に寝転がって、一晩中、星を眺めていたことがあったよって、
あなたがこんな話を聞かせてくれたのは、いつの頃のことだったでしょうか。
こうして、蘇ったばかりの幼い頃の私のエピソードと、
いつかのあなたの声を見つめてみれば、
大人なる前の私たちは、それぞれの場所で、
同じやり方で星空を見上げながら、
顕在意識にはない筈の今度の約束を思い出そうとしていたのかも知れないと、
私にはこんなふうにも思えました。
生まれ変わったらきっと、七夕の日に会いましょう
聞こえない声を何処かに探すように。
祖父母の家の庭先で寝転がって星を眺めた日の私は、
どんなことを考えていたのだろう。
この記憶には残ってはいない幼少期の私は、
今の私には思い出すことの出来ない大切な何かを、
知っていたのかも知れませんね。
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