拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

確かなあなたという形

あなたへ

 

今朝の私がふと思い出していたのは、

叔母が聞かせてくれた、

おばあちゃんが亡くなるほんの少し前に見た夢の話でした。

 

私の中の奥深くへと仕舞い込まれていた記憶が、

突然に蘇ったので、

今日は、あなたにもあの頃のことを話してみたいと思います。

 

おじいちゃんが亡くなり、

長きに渡り、ひとりで暮らしていたおばあちゃんでしたが、

近隣に住む叔母は、そんなおばあちゃんのことを気に掛けて、

頻繁におばあちゃんのところへ出掛けていたそうです。

 

そんな叔母の夢の中に、おじいちゃんが出て来たのは、

おばあちゃんが亡くなるほんの少し前のことでした。

 

俺がいなくなってから随分と長い間、世話を掛けたな

ありがとう

 

夢の中に出て来たおじいちゃんは、

こんな言葉を叔母に掛けたのだそうです。

 

夢から目が覚めた叔母は、

おばあちゃんとのお別れの時が近付いていると悟ったのだと、

こんな話を聞かせてくれました。

 

そう。これは丁度、

私たちがおばあちゃんとの最後の言葉を交わしてからのことでした。

 

この話を耳にしてから間も無くに、

おばあちゃんは、そちら側の世界へと旅立って行きました。


叔母から、夢の話を聞いた時にね、思ったのです。

おじいちゃんはきっと、

ひとりになったおばあちゃんがどんなふうに暮らしていたのかを、

何処かで静かに見守っていたんだろうなって。

 

あの頃の私は、確かに叔母からこの不思議な話を聞いた筈だったのに、

何故、この話を今まで一度も思い出すことがなかったのだろうかと、

不思議な気持ちのまま、

蘇ったばかりの記憶を、大切に私の胸の中へと集めました。

 

あの頃は、丁度、あの子の高校受験を間近に控えた頃でした。

目の前のことで頭がいっぱいだったために、

記憶の隅へと追いやられてしまっていたのか、

それとも、何か別な理由があったからなのかは分かりませんが、

こうして、ひとつ記憶が蘇ってみれば、

また少しだけ、私に見える景色が変わったような気がしました。

 

あなたを見送り、幾つもの不思議な出来事を見つけて来た私ですが、

こうして、身近な誰かの身に起きた不思議な出来事も、

この胸の中へと大切に集めたくなってしまうのは、

何処か、不確かさを纏ったそちら側の世界を、

自分が本当に納得の出来る確かなものへと、形を整えたいからなのかも知れません。

 

あの夏までは、確かにこの瞳に映っていたあなた。

あの夏までは、確かに触れることの出来ていたあなた。

 

あの夏までは、すぐ側にあった確かなものと同じように、

私は、確かなあなたという形を、

何処かに探し続けているのかも知れませんね。

 

 

 

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