拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

この人生の中では解けない問題

あなたへ

 

男の子のお母さんはね、

男性との関係を上手く作れるようになるんだって。

 

こんな話を耳にしたのは、

あの子が生まれてから、どれくらいが経った頃だっただろう。

 

ご主人への接し方とか、何か変わった?

 

あの日は確か、こんなことを聞かれたけれど、

幼いあの子と向き合っていたあの頃の私には、

全くピンと来るものがないままに、

男の子を育てることで、

男性という生き物についてを深く知ることが出来るから、

男性との関係を上手く作れるようになるのだと、

こんな話に合図を打ったのでした。

 

人それぞれに個性があるように、

きっと性別だけで全てを括ることは出来ないのだろうとしながらも、

あの子が大人になる頃には、男性であるあなたについてを、

より理解を深めることが出来るのかも知れないと、

あの日の私は、こんな視点からの未来も、

楽しみに思い描いてみたりもしていました。

 

不意に思い出したいつかの誰の声に心を傾けながら、

今日の私は、あの日感じた気持ちを反芻していました。

 

幼いあの子を見つめていたあの頃の私は、

大人になるまでのあの子を育てた私へと成長することが出来ましたが、

私とは異なる性を持つ存在についてを、

より理解出来たのかどうかについて疑問が残るのは、

私にとってのあの子という存在は、あの子が幾つになっても、

男の子であり、男性ではないからなのかも知れません。

 

こんなふうに考えてみると、

あの頃の私が聞かれた質問に対する答えは、

あなたが、此処に存在していて初めて答えられる質問だったのかも知れませんね。

 

これは、この人生の中では、きっと解けない問題。

 

時々にはこうして、この人生の中では、

解けないであろう問題を、見つけてしまう日もあるけれど、

そんな問題もまた、大切にこの胸の中へと収めてみます。

 

だって、幼いあの子を見つめながら、

ずっと先の未来を思い描いたあの頃の私は、とても楽しかったもの。

 

あの子が大人になる頃には、

あなたの隣には、どんな私がいるのだろうってさ。

 

 

 

1ページ目はこちらより↓↓

拝啓、空の彼方のあなたへ - 拝啓、空の彼方のあなたへ