拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あなたと死別してからの私が集めたもの

あなたへ

 

あなたがいる夏を抱き締めたまま、

必死に時間に逆らうかのように、

後ろを向いて座り込んだままだったあの頃にも。

 

あなたがいる夏に必死に手を伸ばしたまま、

時間に引き摺られていたあの頃にも。

 

少しだけ前へと歩んでは、立ち止まって、

あなたの姿を確認するかのように、

あの夏を振り返ってばかりいたあの頃にも。

 

この瞳に映ることのなくなってしまった筈のあなたが、

見せてくれているのではないか思えるような、

不思議な出来事の数々が私の身に起こりました。

 

ゆっくりと、自分だけのペースで歩めるようになったあの頃にも。

 

道に迷って座り込んだあの頃にも。

 

しっかりと涙を拭いて、私にとっての前を見つめたあの頃にも。

 

前を向いて、しっかりと歩めるようになったあの頃にも。

 

どんな場面を思い返してみても、必ずそこに蘇るのは、

あなたが起こしているのであろう不思議な出来事の数々なのです。

 

あなたを見送ってから、これまでの中に見つけた、

不思議な出来事の数々を思い出していました。

 

あの夏からの私は、

それまでの私が知らなかった痛みを知り続けたけれど、

それと同じ数だけ、

あなたが見せてくれた不思議な出来事の数々も集まりました。

 

偶然を装ったタイミングの良すぎる出来事の数々。

映画のような出来過ぎた展開の数々。

お告げと名付けたあなたからのメッセージであろう言葉の数々。

 

目に見えるものだけが全てなのだと、

こんな視点から物事を見つめていた筈なのに、

あなたらしい痕跡が残されたそれらに囲まれながら、

この人生を生きるようになった私は、少しずつ、

目に見えるものばかりが全てではないのかも知れないと、

こんな視点から物事を見つめるようになって、思えば随分と価値観が変わりました。

 

それらの総合から、

あなたに逢いたいとしながらも、

何処かにあなたのその手の温もりを探し続けてしまいながらも、

ファンタジーの世界を歩むかのようなこんな人生も、

悪くはないのかも知れないと、

この人生に対して、

こんなふうに捉えることが出来るようになったのもまた、

きっと、あなたのお陰なのでしょう。

 

あなたはもう、私のすぐ隣を歩むあなたではないけれど、

それでもやはり、この人生もまた、

あなたと歩む人生であることに変わりはないのでしょう。

だって、あの夏からのあなたは、

こんなにも私に見える景色を変えてくれたもの。

 

私はきっと此処からも、

不意にあの夏のあなたに手を伸ばしては、

此処に見ることの出来なかったもしもを思い描いては、

そして、

何処かに、私がよく知るあなたという形を探し続けては、

その時々で、初めての痛みを見つけては、

それらに向き合い続けながら生きて行くのだろうけれど、

いつでも、そっと静かに、

素敵な景色を見せ続けてくれるあなたと歩むこの人生を、

大切に歩んで行きたいと思っています。

 

あなたを見送ってから、

10年と7か月という月日の中に詰まった不思議な出来事の数々を、

思い出してみます。

 

そこにはもう、

あなたの声は聞こえないし、

あなたの姿を見つけることも出来ないけれど、

きっとあなたはいつでも、願ってくれているんだね。

私がちゃんと、前を向いて歩んで行けるようにって。

 

 

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