あなたへ
絶対に忘れたくない。
今、目の前にあるこの景色も、
この気持ちも全部、ずっと覚えていたい。
それが不可能であることを分かっていながらも、
絶対に忘れないと心に誓うかのように、
目の前にいるあなたらしき人の姿を見つめ続けた記憶のようなものを、
私の中に捉えたのは、先日のことでした。
蘇った、と言って良いのかどうかもよく分からないその記憶のようなものは、
とても短いストーリーでした。
今度生まれ変わったら、絶対に一緒になろう
こんな言葉を掛けられた私は、
もしも生まれ変わることが出来たとしても、
この記憶を持っては行けないことを理解しながら、
それでも絶対に、この気持ちも、この記憶も、忘れたくはないと、
胸の奥深くにしっかりと刻み付けるかのように、
真っ直ぐに、目の前にいるあなたらしき人を見つめ続けたのでした。
不意に私の中へと捉えた記憶のようなものを見つめた私は驚きながらも、
きっと幻のような何かであるに違いないと、目を背けてみたけれど、
それを見なかったことにすればするほどに、
胸の奥が熱くなって、
言葉にはならないままの何かを、私に訴えようとするのです。
私はそこから、
見なかったことにしてはいなけい何かであることだけを感じ取り、
それでは、今の私に見えたものが何であったのかを考えましたが、
考えれば考える程に、私の頭の中は混乱して行きました。
え?ナニコレ?
もしかして、前世の記憶・・・?
いやいやいやいや
違うよ
だって私は、私が思う普通という部類に属する人間だよね?
そう問い掛けたところで、私はいつの頃からか、
私が知る普通からは随分と掛け離れた自分へとなりつつあることに気が付いて。
不意に、幼かった頃の記憶が蘇るようになったのは、
いつからだっただろう。
あれからの私は、
ひとつひとつ、蘇る記憶を大切に集めて来ましたが、
今度は、今世の私には絶対に辿ることの出来ない筈の領域の記憶までもが、
蘇るようになったのでしょうか。
もしもそうだとするのなら、あの、
キャラメルを口に放り込んだ瞬間に不意に蘇ったアレもやはり、
封印されていた筈の記憶の一部だったということなのでしょうか。
仮にです。
もしも仮に、そうだとするのなら、私は、
自分というものがよく分からなくもなって来ました。
幼かった頃の記憶の封印が解かれたかのように、
ひとつ、またひとつと、蘇るようになった記憶を大切に集めるようになった私は、
思えば随分と、
私が思う普通とは掛け離れた自分へと変わり行きましたが、
それは、大人になった私が集めて来たものと、
子供の頃に持っていたものとを掛け合わせ、
新たな何かを見つける私へと変わって行くのかも知れないと、
そんなふうに受け入れた筈だったのです。
それなのに、この人生の中では絶対に見てはいない筈のものが、
記憶のようなものとして蘇るだなんて。
なんだか、思っていた感じの変化からは、
どんどん遠ざかっているような気がしてしまうのですが、
今の私にとって必要だからこそ、または、
受け入れる準備が出来たからこそ蘇った何かであるのかも知れません。
あまりにも突然だった出来事に、まだ混乱もありますが、
楽しんでみるのも悪くはないのかも知れないと、
こんなふうにも思えるようになったのは、
やはり私の考え方が、随分と変わったからなのかも知れません。
楽しみながら此処から先へと歩んで行けば、
また違った何かが見つかるのかも知れませんね。
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