拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

1万分の1の確率

あなたへ

 

あなたは右折、私は直進。

すれ違う瞬間に、笑い合った日があったことをあなたは覚えていますか。

 

あの時は、対向車線にいたあなたが先に私に気が付いて、

ニコニコとしながらこちらを見ていたんでしたっけ。

 

仕事から帰宅途中のあなたと、

仕事帰りにスーパーマーケットへ寄る予定だった私。

 

そんな2人が、偶然にすれ違ったのは、いつかの夕方のことでした。

 

あの道を通りながら、あの日、

あなたとすれ違いながら笑い合った日のことを思い出していました。

 

同じ家に暮らしている筈なのに、偶然どこかで出会った時って、

なんだか少しだけドキドキして、なんだかとても嬉しくて。

 

私の中には、いつもとは違う感情を見つけていたけれど、

あの時のあなたは、どんな気持ちを感じていたのだろう。

 

そう。それから、

同じスーパーマーケットで、偶然に会ったこともありましたね。

あら、奥様、お買い物でしたの?って、

こんなあなたの奥様風な言葉や身振りに笑いながらも、

えぇ、そうざますのよって、あの時の私たちは、

スーパーマーケットの入り口で、突然に奥様ごっこが始まりましたっけ。

 

ねぇ、あなたは、

偶然、何処かで知っている人に出会う確率がどのくらいなのか、

知っていましたか。

 

その確率はね、1万分の1程なのだそうです。

 

同じ家に暮らす家族とであっても、偶然に外で出会うことは、

それと同じくらいに奇跡的な確率だったのかも知れません。

 

だってさ、

もしも数秒の違いがあったのなら、

あなたが運転する車が右折した後で、

私がそこを直進したのかも知れない。

 

もしも数秒の違いがあったのなら、

同じスーパーマーケットへ足を運んでいながらも、

広い店内ですれ違ったまま、

互いが同じ場所にいることすら気付かなかったのかも知れない。

 

きっとね、1秒も狂うことがなかったから、

私たちは会うことが出来たんだよ。

 

こうして考えてみると私たちは、素敵な奇跡に囲まれながら、

同じ人生を歩んでいたのかも知れないね。

 

なんて、こんなことを言ったとしたのなら、

あなたはどんな顔で笑うのだろう。

 

でもさ、

そんな特別な出来事があった日の私は、

あなたと同じ家に帰ることが、とても楽しみだったんだ。

 

なんだか早く、あなたに会いたくて、

なんだか早く、あの奇跡の時間の続きを知りたくて。

 

あの頃の私は気付かなかったけれど、

こうして、ひとつひとつの出来事を振り返ってみれば、

私たちの人生の中には、

奇跡みたいな素敵な景色がたくさん散りばめられていたんだなって、

今の私には、そんなふうに思えるんだ。

 

 

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