あなたへ
あなたって、本当に、
私と一緒にこの世界で生きていた人よね?
時々、こんな視点から、あなたの顔をじっと見つめてしまうのは、
この世界に存在していたあなたと、今のあなたとでは、
私にとって、
大きくかけ離れ過ぎたものがあるからなのかも知れません。
今のあなたという存在とは、
ある種、私たちにとっての神様のような存在でもあるのだと、
いつかのあの子と私は、こんな話をしたことがあったし、
あの、例の塩をあなたに預けてみたことも、
そんな考え方があってのことでした。
例えば、ご先祖様という存在は、
子孫である私たちを守ってくれている存在なのだという考え方があります。
そんな考え方に基づいて考えてみれば、
この世界を去ったあなたもまた、そのような存在として、
私たちを見守り続けてくれている存在となったと言うことが出来るのでしょう。
ですが、それにしてもと思うのは、
今のあなたって、私がよく知るあなたでありながらも、
人間的とも言える何かの側面が、
綺麗に削ぎ落とされているようにも感じるのです。
例えば人間って、何処かに必ず歪さを持っていて、
不完全な何かを纏っているからこそ、人間らしいとも言えるのだと思います。
ですが、私が感じる今のあなたは、
私がよく知るあなたでありながらも、
完璧な形に整えられたあなたという存在であり、
そこには、人間的な要素が全くと言っても良い程に、感じられないのです。
この世界から旅立った人に対して、
こんなふうに感じることは初めてのことですが、
それはきっと、一番近くにいたあなたにだから感じることの出来るものであり、
今も尚、すぐ側に感じる存在だからこそ、
ほんの僅かな違いを見つけることが出来たのかも知れません。
そして、
目には見えなくなってしまったあなたという形を何処かに探し続けながらも、
その一方で、
私は少しずつ、今のあなたという存在を、
見つめることが出来るようになったのだとも言えるのかも知れませんね。
こちら側では、この世界から居なくなることを、
死、と表現しますが、
そちら側から見てみれば、それはきっと還るに過ぎず、
生とは、不完全であり、
死とは、ある種の完全のような何かであるのかも知れないと、
今のあなたを見つめながら、
ふとこんな視点をひとつ見つけることが出来たのは、先日のことでした。
この世界での成すべきことを立派に成し遂げ、
やがてこの世界を去った今のあなたは、
完璧な形に整えられたあなたという存在として、
そちら側にいるのかも知れませんね。
だからこそ、私は今のあなたに対して、
あなたらしさを感じながらも、
完全なる存在であるように感じられるのかも知れません。
それはやはり、
神様という言葉が相応しい存在であるのかも知れませんね。
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