あなたへ
見上げた青空がとても綺麗だったから、
何気なく写真を撮ってみれば、
太陽の光に触れて、綺麗な虹色を放つ雲の写真を撮ることが出来ました。
撮ったばかりの写真を見つめれば、不意に蘇ったのは、
かつて私を強く惹きつけた彼女の言葉でした。
蛍光灯の光が虹色に見えるよ
眼鏡が曇っているせいかなって。
これは、彼女の後ろを、
ひな鳥のようについて回っていたあの頃に聞こえた声でした。
あの時の私は、彼女の声に相槌を打ちながら、
同じ空間にいながらも、彼女は今、
私とは全く違う景色を見ているのだと、
なんだか少しだけ、羨ましくも思ったのでした。
あれから、暫くの時が経ち、
私は、彼女とは全く違う景色の中を歩むこととなりました。
あの場所で過ごした最後の日には、
皆から色々な言葉を掛けて貰いましたが、
彼女だけは、元気でね、でも、お疲れ様、でもなく、
またねと声を掛けてくれました。
あの日の私は、彼女がくれた言葉を大切に胸の中へと収めながら、
やはり私が見ていた彼女の内側に間違いはなかったのだと、
改めて、感じたのでした。
あの日の帰り道、彼女がくれた言葉を反芻しながら、
何故だかほんの少しだけ、泣き出しそうな気持ちを見つけたことも、
私の大切な思い出です。
虹色の光を放つ雲の色を見つめながら、
今日の私は、彼女の後ろを、
ひな鳥のようについて回っていた日々を懐かしく思い出していました。
またね。
あの日の彼女がこう声を掛けてくれたように、
いつの日か、また彼女に会えたらいいな。
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