あなたへ
2人分の桜の景色を集めよう。
自分の中で、改めてこんな目標を立て直したのは、
今年の桜が咲き始めた頃のことでした。
こちらでは、満開になった桜の花が少しずつ散り始め、
鮮やかな緑色が少しずつ見え始めました。
この春の私は幾つくらいの桜の景色を見つめただろう。
ひらひらと風に舞う小さなピンク色を見つめながら、
この春に集めた桜の景色を、ひとつひとつ思い出していました。
あなたと一緒に歩きたかった土手の上はね、
川のこちら側と向こう側で、桜が開くタイミングが少しだけ違うのよ。
毎年の私が歩くこちら側の方が、少しだけ桜の開花が遅いの。
あの場所は、他の場所よりも、ほんの少しだけ長く、
桜の景色を楽しむことが出来る場所なんだなって、
今年の私は、こんな発見をしました。
毎年の私は、菜の花が咲く側であるこちら側ばかりを歩いていたけれど、
今年は初めて、向こう側の土手の上も歩いてみました。
向こう側の土手の上から見た景色は、
少しずつ見慣れて来た筈だった景色が全く違って見えて。
川を挟んだだけなのに、
こんなにも景色が違うんだなって、なんだか感動してしまいました。
そうそう。それから、
ただ春を感じる1日と題して出掛けたあの日の自分との約束も、
果たすことが出来ましたよ。
あれからのあの場所は、
色とりどりのチューリップと桜の景色を楽しめる場所へと変わっていて、
これまでには見たことのなかった桜の景色を集めることが出来ました。
僅かな時間を見つければ、
何処かしらの桜の景色を集めた今年の私の胸の中には、
本当にたくさんの桜の景色が集まりました。
様々な場所で、様々な桜の景色を見つめながら、
私は、私が思っていたよりも、桜の景色が好きなのかも知れないと、
今年の私は、不意にこんな気持ちを見つけることも出来ました。
振り返ってみれば、
私は、年齢を重ねれば重ねるほどに、
桜の景色に強く惹かれて行くようになったような気がしています。
いつかの私は、春みたいなあなたに出会うために、
春に生まれて来たのかも知れないと、
漠然とそんなことを考えていたことがあったけれど、
もしも他にも理由があるとするのなら、
私は、桜が咲く季節を選んで生まれて来たのかも知れませんね。
そこには、今の私が知らない大切な何かが隠されているのかも知れません。
そう。例えば、キャラメルと同じように。
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