あなたへ
桜の時期を過ぎ、一層暖かな風が吹く頃になると、
私が思い出すのがあの場所であるのは、
そこで見つけた春が、とても好きだったからなのかも知れません。
またあの場所へ行ってみたいと思いながらも、
すっかりと足が遠のいてしまったのは、やはり、
知らない男性から声を掛けられたあの恐怖の出来事を、
忘れることが出来ないからなのでしょう。
特に危害を加えられたわけではありませんでしたが、
周りに誰もいないという特別な場所での出来事というのは、
忘れられない恐怖心がしっかりと根付いてしまうものなのかも知れません。
あれからの私は、人がいる公園の良さを改めて見直すこととなりましたが、
空を見上げて、静かにあなたを想う時間を大切にしている私は、
相変わらずに、ひとりになれる場所を探し続けしました。
見方を変えてみれば、いつでも新たな発見が出来るものなのでしょう。
あれからの私は、
色々な公園の色々な場所に、理想的な場所を見つけられるようになりました。
公園内に人はたくさんいるけれど、
ひとりだけの時間を楽しむことが出来る一角。
そんな場所です。
またいつか、あの場所へ行ってみたいと思いながらも、
毎度、別な場所へと足を運びながら、思えば私は、
いつの間にか、自分の思う空間を見つけるのが上手になったなと、
こんなことに、ふと気付いた日がありました。
あの頃の私が思い描いた強さを身に付けることは出来てはいませんが、
その代わりに私は、
ある種の特殊な能力を開花させることが出来たと言うことも出来るのでしょう。
安全な場所で、ひとりで空を見上げる。
あれからの私は、そんなふうに、ひとりの時間を大切に過ごしています。
今日のこちらでは、暖かで爽やかな風を感じることが出来ました。
あの場所で感じた風に、少しだけ似ているような気がして、
今日の私は、あの場所で見つけた景色を思い出していました。
またいつの日か、あの場所に行けたらいいなって。
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