拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

あの子が教えてくれた愛おしい気持ち

あなたへ

 

また寂しくなるんだな

 

思わずこんな言葉を呟いたのは、

今回のあの子の帰省2日目の夜、眠る前のことでした。

 

今回のあの子は、

カレンダー上のゴールデンウィークよりも、1日長くこちらにいられるようです。

 

まだまだあの子と一緒に居られるにも関わらず、

前回あの子が帰省した時の、

あの、なんとも言えない寂しさを不意に思い出してしまったのです。

 

どんなに望んでも、1秒は2秒にはならないし、

ほんの僅かにだけであっても、時間を止めることも出来ないままに、

どんどん、どんどん流れ行く時間はやがて、

あの子の帰省最終日を連れて来てしまうのです。

 

帰省最終日の、

あの子に持たせる食事を準備する時のあの気持ちや、

あの子の出発前に、一緒に飲むコーヒーを淹れる時のあの気持ち。

 

そして、あの子を駅まで送り届けた後で、

静寂に包まれたこの家にひとりで帰って来た時のあの気持ちを反芻すれば、

明日の朝には、あの子のおはようの声が聞こえることが分かっているのに、

寂しくて堪らなくなって。

 

此処から巣立ったあの子が教えてくれた胸の奥の痛みをしっかりと感じ切りながら、

小さくため息を吐けば、やがて、

私の中へと見つけることが出来たのは、新たな気持ちでした。

そっか。私は今、とても幸せなんだなって。

 

だって、今の私は、時間を止めてみたくなってしまうような、

掛け替えのない時間の中にいるってことだもの。

 

例えば、30年前の私は、

こんなふうに愛おしく思える時間が存在するだなんて、知りませんでした。

 

この人生の中で、私は、

これほどまでにも、愛おしく思える存在と出会うことが出来て、

本当に愛おしい時間を知ることが出来たってことなんだなって。

 

今がとても幸せだから、少し先の未来がきっととても寂しい。

 

きっと私はこれからも、あの子の帰省を迎える度に何度でも、

新たな寂しさを知ることになるけれど、

そんな気持ちを感じることが出来ることも、きっととても幸せなことで。

それは、新たな愛おしさを知ることと、同じことなのかも知れません。

 

寂しいってさ、きっと、愛おしいってことなんだね。

 

今回のあの子の帰省中の私もまた、1日の終わりには、

不意に小さくため息を吐き出してしまうのかも知れないけれど、

あの夏から先へと歩んだあの子が教えてくれた愛おしさを、

あなたの分まで大切に集めて行くよ。

 

 

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