あなたへ
人ってさ、足りない何かを埋めるために、
誰かと一緒にいるのかも知れないな
これは、不意に私の中へと浮かんだ言葉でした。
例えば、好きな人と一緒にいることって、
歪な形を限りなく丸い形に整えるようなことなのかも知れない。
好きになる相手ってさ、
自分には持ち合わせてはいない素敵なものを持っている人だったりもしてさ。
人には、持っているものと、持っていないものがあるから、
恋をするのかも知れないな。
不意に浮かんだ言葉から、
あなたに出会い、少しずつあなたという存在を知り、
更に惹かれ続けて行った日々のことを思い出していました。
あなたって、私が知らなかった価値観や、優しさ、
そして、強さを持った人でした。
私が持つそれとは、全く違うものを持ったあなたと一緒にいることは、
限りなく丸い形へと整えられるようなことでもあったのかも知れません。
誰かを好きになると、この世界が違って見えるものだけれど、
それは、限りなく丸い形へと近付くことが出来たからこそ、
見える景色であるとも言えるのかも知れません。
では、それなら人は初めは、歪な形をしているのでしょうか。
不意に浮かんだ言葉から、様々に思いを巡らせてみれば、
新たな疑問が浮かんで来たのは、
これまでの私が集めて来た視点たちからの問い掛けだったのかも知れません。
更に突き詰めて考えれば、
人がこの世界へと生まれて来た時には、
完璧な丸い形をして生まれて来るのかも知れないと、
私には、そんなふうに思えました。
きっとね、この世界に生まれ落ちた時には、
不足しているものなんて、何もないのよ。
でも、成長の過程で、大切なものを、
ひとつひとつ、何処かに置き忘れて行って、どんどん歪な形へと変わってしまうの。
そう。それはきっと、大人になるために。
成長過程で何処かに置き忘れてしまう大切なものって、
人それぞれきっと違っていて、
実は、自分が何処かに置き忘れてしまったものを持っている人に、
惹かれるものなのかも知れません。
まるで初めて知ったかのような感覚で、
その人が持っているものに触れながら学ぶけれど、
それが初めて知ったものであるかのように錯覚をしてしまうのは、
きっとそこには、個々の持つ素敵な色が付いているからなのよ。
だからきっと、直ぐ側にいる相手は、実は自分が失くしたものを、
持っている相手だということに気付かないままに、
新たなものを学ぶかのように、相手に魅了されるの。
誰かと一緒にいることは、
相手が持つ素敵なものを受け取ることにもきっと繋がるけれど、
実は、それは、いつかの自分が何処かに置き忘れてしまった大切なものが、
自分の手の中へと戻ることなのかも知れません。
そう。とても素敵な色が付いて、更に輝きを増した状態で。
そんなふうに集め直した大切なものたちが全部、自分の手の中へと集まった時に、
人はまた、丸い形へと戻ることが出来るのかも知れません。
それは、この世界へ生まれ落ちた時よりも、更に素敵な輝きを持った丸い形で。
人生という旅路の中で、ひとつひとつ、大切な何かを取り戻して、
やがて、更に輝きを増した丸い形となった時に、魂は肉体を離れ、
そちら側へと還るものなのかも知れません。
そう。だから、今のあなたという存在が、
私には、完璧な形に整えられた存在であると感じるのかも知れません。
突然に浮かんだ言葉から、様々に考えを巡らせれば、
これまでには、考えたこともなかった視点を見つけることが出来ました。
何故、突然に、こんなことを考え始めたのかは分かりませんが、
きっと、私にとっての必要な何かであり、
また新たな視点を見つけるためのヒントのようなものであったのかも知れません。
見つけたばかりの視点は、まだまだ未完成な視点であるようにも感じますが、
きっと、此処から先へと歩んで行けば、
更に形が整えられた視点へと変わって行き、
私にとっての大切な何かを見つけることが出来るのでしょう。
ねぇ、あなたは、大人になる過程で、
何を失くし、何を取り戻しましたか。
私は、あなたが何処かに置き忘れた大切な何かに、
どんな色を付けて、どんなものを渡すことが出来たでしょうか。
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