拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

巣立った我が子に持たせるお弁当

あなたへ

 

私たちの非日常生活は終わり、

今日からまた互いに日常生活が始まりました。

 

今日の私は、お昼ご飯を食べながら、

今頃のあの子はお弁当を食べているだろうかと、

遠くの地で日常生活へと戻ったあの子を想いました。

 

今日のあの子はね、お昼には私が作ったお弁当を食べた筈なの。

 

あの子が此処から出発する時に、

お弁当を持たせるようになったのは、いつからだっただろう。

 

あの子が此処から出発する時には、

たくさん作ったおかずをパックに詰めて持たせていた私だったけれど、

不意に、お弁当を作ってしまった方が、あの子の明日が楽かも知れないと、

そんなふうに思い付いたのは、

あの子がいつも、連休最終日に此処を出発するからでした。

 

日常生活へと戻ったばかりのあの子が、

出来るだけ楽が出来るようにと、そんな想いから見つけた案でしたが、

一度やってみたら、あの子はとても喜んで。

 

あれからの私は、おかず類のパックの他に、

お弁当の形に整えたものを、あの子に持たせるようになりました。

 

あの子が巣立ちを迎え、

思えばこうして、あの子にお弁当を作る日など、

もう、やっては来ないのだと考えていた私にとって、

あの子に持たせるお弁当を準備する時間もまた、掛け替えのない時間です。

 

毎日、あの子のお弁当を作ることが当たり前だったあの頃と違うのは、

お弁当箱ではなく、パックにお弁当を詰めるようになったこと。

 

もう、あの頃みたいに、ご馳走様の声も、

空になったお弁当箱を受け取ることもなくなったけれど、

元気に過ごすことが出来ますようにと願いを込めて、

お弁当を作る想いはあの頃のままで。

 

今日のあの子も、残さずお弁当を食べて、

元気いっぱいに歩めたかしらね。

 

 

 

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