拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

知らなかった痛み

あなたへ

 

あなたみたいに前髪を切れるようになったこと

 

カー用品店へひとりで行けるようになったこと

 

電化製品をひとりで買いに行けるようになったこと

 

それから、

ひとりで歩めるようになったこと

 

あの夏からの私は、

どれだけのことをひとりで出来るようになっただろう。

 

インパクトドライバーを使えるようになって、

様々な手続きを自分で出来るようになって。

 

あなたがしてくれていたことを、ひとつひとつ出来るようになった私は、

なんだか誇らしくも感じていた筈だったのに、

随分と、色々なことが自分で出来るようになったことに気が付いてみれば、

不意に寂しい気持ちを見つけたのは、いつの頃だっただろう。

 

そう。車の取扱い説明書を読んだ日の私もね、

本当は少しだけ、成長したくない自分を見つけてもしまったのでした。

 

あなたを見送ったばかりだった頃の私は、本当に何も出来なくて、

分からないことばかりの連続で、

何度もあなたの名前を呼びながら、小さな一歩一歩を歩んでいたけれど、

少しずつ、色々なことを覚えて、

少しずつ、色々なことが自分で出来る私へと成長して行けば、

あなたの名前を呼ぶ回数も、自然と少しずつ減って行きました。

 

ちゃんと成長して、あなたに誇れる人になりたい。

史上最高のいい女になるために、今世の私は、しっかりと成長しなくちゃって、

この人生でのテーマをちゃんと見つけることが出来て、

ちゃんと、前を向いて歩める私へと成長出来たのに、

いつの間にか、自分で出来ることが増えてみれば、

あなたの名前を呼ぶ自分がどんどん小さくなって。

 

あなたの隣で笑っていたあの頃の私が、成長すればする程に、

きっと、あなたはただ遠くから、

この人生を歩み続ける私を静かに見守ってくれるだけで、

いつの日か、あなたの力をはっきりと感じることの出来る、

驚くような展開を見つめることもなくなってしまう日が来るのかなって、

そして、

あなたに頼りたいと思ってしまう私も、いつかはいなくなってしまうのかなって、

時々には、こんなふうに考えてしまうこともあるのです。

 

本当なら、たくさんのことが自分で出来るようになることは、

ただ嬉しい筈なのにね。

こんな痛みがあるだなんて、知らなかったよ。

 

時々、ぶち撒けたくなる感情があったり、

出来ることが増える度に、寂しさを感じてみたり。

 

時々の私は、酷く矛盾していて、なんだか笑ってしまうけれど、

こんなふうに、矛盾した気持ちを見つけた日には、

そこにある気持ちを素直に感じ切ってみる。

だって、これもきっと、私の成長の一部だと思うから。

 

きっと此処から先へと歩んで行けば、

これからも、今の私が知らない痛みを感じてしまうこともあるのかも知れないし、

今の私が目指す場所へと辿り着くことが出来た日にも、

やはり、今の私がまだ知らない痛みを見つけてしまうのかも知れません。

 

それでも私は、その時々に感じた痛みを、

ちゃんと、大切に感じ切りたいと思っています。

 

これがきっと、あなたを想いながら、

この生を大切に生きるということだと、私は思うから。

 

 

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