あなたへ
この人生の中では、
蘇る筈のないふたつの記憶らしきものを思い出していました。
こうして改めて、あの、記憶のようなものを思い返してみれば、
やはり、なんだかとても不思議な気持ちがしますが、
今日の私は、あの不思議な感覚を大切に反芻してみました。
もしもあの記憶のようなものが、過去世の記憶であるとするのなら、
本当なら、今世においては封印されるべきものであった筈なのでしょう。
何故、封印が解かれてしまったのかは分かりませんが、
胸の中が熱くなるようなあの感覚を思い出してみれば、
絶対に忘れたくないと、あの時、強く願ったからこそ、
今世に生まれ変わった私の中へも、蘇らせるのとが出来たのかも知れません。
きっと、あの人生を生きた私は、
その大切な記憶を、何度も何度も、反芻したのでしょう。
それは私にとって、この人生の中で集めた大切な記憶と、
同じくらいに大切なものだったに違いありません。
人は何度も生まれ変わるのだとしたのなら、
過去世の自分が絶対に忘れたくないと、強く、強く、
胸の中へと刻み付けた記憶が蘇ることもあるのかも知れませんね。
だって、よく考えてみれば、
過去世の自分も、今世の自分も、どちらも同じ自分なのだから。
もしもそうであるとするのなら、
来世の私の中には、絶対に忘れないと誓った、
あなたの手の温もりが、蘇る瞬間があるのかも知れません。
来世の私の中に、断片的に蘇る記憶が、
泣きながらあなたの手を握り締めた記憶であるとするのなら、
私は、来世の自分へ、ひとつ贈り物をしてみたいと思いました。
でも、楽しいこともたくさんあったし、良い人生だったなって、
この記憶など何も残ってはいなくとも、
来世の私が、こんな言葉を無意識に呟くことの出来る人生を送って、
今世の私が知った胸の痛みとは裏腹に、何故だか微笑んで、
きっと、前世の私は、素敵な人生を送っていたのかも知れないと、
胸が痛くも、何故だか微笑んでしまうような、そんな瞬間を贈りたいと思いました。
来世の自分のためにも、
この人生を、より素敵な人生にしたい。
こんな視点を見つけることが出来たのは、
あの、記憶のようなものたちのお陰でしょう。
何故、突然に、過去世の記憶らしきものが蘇ったのかは分かりませんが、
今世のこの人生をより素敵なものにするために、
過去世の私が見せてくれた記憶だったのかも知れません。
1ページ目はこちらより↓↓