あなたへ
あぁ、そういうことだったんだ
思わず小さく呟いて、やはり私には、
覚悟を決めて向き合わなければならない何かがやって来たのだと、
こんなふうに改めて、納得せざるを得なかったのは、
あなたを見送ってからの私が、ずっと避け続けて来た筈の、
医療関連のテレビドラマを、何故だか再生した日を思い出したからでした。
今の自分にとって必要なものは、
実は過去に出会っているものなのかも知れないと、
私がこんな視点を見つけたのは、いつの頃のことだったでしょうか。
とても不思議な視点ではありますが、新たな視点を持ってみれば、
私の人生の中には、その視点を証明出来る数々の出来事がありました。
あの、医療関連のテレビドラマを再生した頃の私は、
自分の行動に、明確な理由が分からないままに、
また新たな成長段階を迎えたのかも知れないと、
あなたへはこんな手紙を綴りましたが、
あれから先で、私には、
あなたが息を引き取ったあの病院へ行かなければならないという流れが訪れました。
傷口を抉るような行動でもあった筈なのに、
医療関連のテレビドラマと向き合うことに決めたあの日の私の行動は、
こうして思い返してみれば、実は、未来の私のための、
予行練習のような時間であったのかも知れません。
私がちゃんと、あの病院と向き合うことが出来るようにと。
不意に思い出した過去の自分が取った行動が、今になって腑に落ちて。
やはり私には、あなたが息を引き取ったあの病院で、
逃げずに向き合わなければならない何かがきっとあるのでしょう。
今月末、また改めて、
あの病院へ行くことになりました。
本当はね、やはり少しだけ怖いけれど、
その日がやって来たのなら、この瞳に映るもの全てをちゃんと見つめて、
しっかりと向き合って来るよ。