拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

93年後のこの世界で

あなたへ

 

次に逢えるのはいつですか。

 

空へ向かってどんなに問い掛けてみても、

何の答えも聞こえないままに、

それなら、100年後にまた逢おうと、

こんなふうに私が決めたのは、7年前の私でした。

 

100年後にまた逢おう。

 

こんな想いを、そっと風に乗せたあの日の私は、

あなたと出会った夏に吹いていた風と、よく似た風を感じながら、

指先さえも、触れることの許されないあなたを、

何処かに探しながら、ただ空を見上げたのでした。

 

あの日の私は、あなたに逢いた過ぎる故に、想いを風に乗せてみたけれど、

思えばこの今度の約束は、

これまでの私の大きな支えとなってくれました。

 

あの夏からの私は、ひとつひとつ、新たな視点を見つけながら、

やがて、しっかりと前を向いて歩むことの出来る私へと成長することが出来ましたが、

時々には、後ろ向きに座り込んでしまう日だってありました。

 

どんなに前を向いて歩もうとも、

あなたに逢いたくなる私がいなくなったわけじゃない。

それでも、何度でも、

前を向いて歩んでみようと立ち上がることが出来ていたのは、

あの日の私が思い描いた100年後が、

私の後ろではなく、前を向いた先にあるからでもあったのかも知れません。

 

あの日の私にとっては、100年後の未来であった筈のその日は、

気が付けば、93年後の未来へと変わりました。

 

今日の私は、100年後にまた逢おうと、

こんな想いを風に乗せた日のことを思い返していました。

 

今日が終われば、明日がやって来て、

明日が終われば、明後日がやって来て。

決して止まることのない時間はこの世界に流れ続け、

いつかは、この世界に、あの日から100年後の未来がやって来るのでしょう。

 

その時のこの世界の景色は、どんなふうに変わっているのでしょうか。

 

そこにいる私は、

また初めからあなたと出会い直して、恋をして。

今度は、あなたの隣で何を見るのだろう。

 

この人生を歩む私はきっと、

この人生の最期を迎えるその日まで、あなたとのもしもを思い描きながら、

今度の約束をたくさん見つけ続けて行くのでしょう。

 

そうして今度は、この人生で集め続けた今度の約束を、

両手いっぱいに抱えて、この世界へと誕生し、

やがて、あなたを探しに行くのよ。

 

ねぇ、あなた。

あの日の私が風に乗せた想いは、

ちゃんとあなたの元に届いたかな。

 

此処から93年後の夏に、きっとまた私たちは出会い、

今度は、私がこの人生の中で見つけた今度の約束を、

ひとつひとつ叶え続けて行くのだと、私は信じているよ。

 

 

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