拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

夜になると訪れる衝動

あなたへ

 

ねぇ、あなた

チョコレートが食べたいな

 

あなたへのこんな声を掛けたのは、昨夜のことでした。

 

昨夜の私は突然に、チョコレートが食べたくなって。

それなのに、家にはチョコレートが見当たらなくて。

 

どんなチョコレートが食べたいの?ってあの頃みたいに、

あなたの声が聞こえて来るような気がして、

思わずあなたに声を掛けながら、昨夜の私は、その声を探してしまいました。

 

ねぇ、あなた

チョコレートが食べたいな

 

あれは、あの子が生まれてから、どれくらいが経った頃の夜だっただろう。

 

突然にチョコレートが食べたくなったあの日の私は、

なんとなくそれを言葉にしてみたけれど、あなたは、

どんなチョコレートが食べたいの?

買って来てあげるよ

待っててって、出掛ける準備を始めてくれて。

 

あの夜は、なんだか申し訳なさを感じながらも、

あなたの素敵なところをまたひとつ、見つけた夜でもありました。

 

あれからも時々、何故だか夜になると、

チョコレートが食べたくなるという衝動に駆られることがありましたが、

買い置きがない日にそれが訪れれば、あなたはいつでも、

チョコレートを買いに行ってくれましたっけ。 

どんなチョコレートが食べたいの?って。

 

そんな夜のあなたは必ず、

これも美味しそうだったからって、数種類のお菓子を買って来てくれたのよ。

 

そうして、突然に始まったのは、

私たちの夜のお菓子パーティでした。

 

日常の慌ただしさの中に突然に訪れる、ゆっくりとした夜のひと時は、

あの頃の私にとって、とても特別な時間でした。

 

夜になって、突然にチョコレートが食べたくなるというあの衝動を感じたのは、

いつ振りのことだっただろう。

 

あなたを見送り、私は、様々な自分を、そして、大切な記憶さえもを、

あの夏に置き去りに歩んで来ましたが、

あの、夜になるとチョコレートが食べたくなるという私のこともまた、

あの夏に置いたままで、此処までを歩んでいたのかも知れません。

 

昨夜の私は、突然に見つけたかつての自分を見つめながら、

あの頃のあなたと過ごした幾つもの夜を思い出していました。

 

きっとこれからも、時々には、突然に、

チョコレートが食べたくなってしまう夜が訪れるのでしょう。

 

ひとりで過ごすこれからの夜のために、

今日の私は、幾つかのチョコレートを買って来ました。

 

もう、どんなに待ってみても、

あの頃のあなたの声は聞こえないけれど、

私はきっと、突然の夜を迎える度に、何度でも、

あの頃のあなたと過ごした幾つもの夜を思い出すのでしょう。

 

 

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