あなたへ
こちらでは、先日、梅雨入りし、連日、雨や曇り空の日が続いています。
今日の私は、灰色の空を見上げながら、
そちら側でのあなたのことを考えていました。
今頃のあなたは、どうしているかしらって。
乗馬を始めたのだと、立派な馬を連れて、
帰って来てくれた夢を見たのは、あなたを見送ってから、
どれくらいが経った頃のことだったでしょうか。
窓からあなたの姿を見つけて、大喜びで、
玄関まで、あなたを迎えに行ったことも、
あの日のあなたの姿も、今でもよく覚えています。
そちら側の世界を案内してくれた日のあなたは、
ジオラマ作りに夢中になっていましたね。
とても大きなジオラマを見せてくれたあの日のあなたは、
此処では、なんでも好きなことが出来るんだよって、
こんな話を聞かせてくれましたっけ。
そちら側の世界を案内してくれたあなたの隣を歩きながら、
とても幸せな気持ちを感じていたこと、今でもよく覚えています。
最近は旅行に嵌っているのだと、こんな話を聞かせてくれたのが、
最新のあなたの情報ですが、あれからのあなたは、
どんな場所へと出掛けて、何を見て来たのだろう。
思えば、あなたと離れなければならなかったあの夏にいた私は、
こんなふうに、そちら側でのあなたのことを知れることになるだなんて、
思ってもいませんでした。
私がこうして、あなたへの手紙を綴りながら、
こちら側での最近のことを伝えるように、
あなたはあなたのやり方で、
あなたの最近を伝えに来てくれているのかも知れませんね。
この世界では、スノーボードやバイク、
それから映画鑑賞が好きだったあなただけれど、
こうして、そちら側でのあなたのことを並べてみると、
今のあなたは、この世界にいた頃とは、
全く違うことをして楽しんでいるんだね。
そちら側という場所は、
この世界で見つけることの出来なかった、
新たな自分を発見する場所でもあるのかも知れないと、
今日の私は、ふと、こんな視点をひとつ見つけました。
今のあなたは、どんなことに夢中になっていますか。
これからのあなたは、どんなことに挑戦したいですか。
きっとまたいつか、
そちら側でのあなたのことを話して聞かせてくださいね。
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