あなたへ
私は、今の私として、あなたの隣に立ちたい。
不意に見つけたその感情は、私の心を大きく揺さ振りました。
私の中へと見つけた感情は、今の私は既に、
過去の自分が目標とした自分になれていたことを教えると同時に、
過去の自分が知らなかった痛みを私に教えました。
胸の奥に感じる痛みに耐え切れずに、
痛みを逃すかのように、思わず心の真ん中へと手をやりながらも、
私は背筋を伸ばして、しっかりと前を向いたままで。
静かに目を閉じて、
矛盾した痛みを、胸の奥へと刻み付けるかのように、
私はそこに見つけた感情を、しっかりと感じ切りました。
今の自分のことが好きなのだと、あの子がこんな話を聞かせてくれたのは、
あの子がまだ、高校生の頃のことでした。
あの日のあの子が私に見せてくれたのは、
もしもの世界を生きることが出来なかった代わりに、
あの子が自分で見つけた視点と成長でした。
あの日の私は、あの子の声に耳を傾けながら、
そこにある痛みを感じながらも、それでもいつかは私も、
あの子みたいに、何の一点の曇りもなく、
今の自分を好きだと言える私になりたいと、
そんなふうに自分の目標を再確認したのでした。
私は、今の私として、あなたの隣に立ちたい。
不意なこんな気持ちを見つけた私は、
今の自分を好きだと、
胸を張って言える私へと成長することが出来たということなのでしょう。
私は、私のペースで、ゆっくりと歩み続けながら、
ひとつひとつ、新しい視点や気付きを集めて来ました。
試行錯誤を繰り返しながら歩んだ日々は、決してスマートな歩み方ではなかったし、
私の成長は、随分とゆっくりだったけれど、
それは、自分にとっての必要なものをひとつ残らず全部、集めるためであり、
目標とする自分へと成長するためだったのかも知れません。
そうして、私はいつの間にか、
あの頃のあの子の声に耳を傾けていた頃の私が目標とした自分へと、
成長することが出来ていたのだと思いました。
いつかのあの子が言っていたように、
今の私が此処に在るのも、
今の私が胸を張って、自分を好きだと思えるのも、
この人生を生きた私だからなのだと言えるのでしょう。
あなたの隣で笑っていた頃の私が知らなかった痛みを知り、
痛みと向き合い続けた私だから、今の私なのであり、
今の私へと成長するためには、
この人生を歩んだ私でなければならなかったのです。
私はただ、あなたの隣で笑っていたかっただけなのに、
私はただ、あなたと一緒に歳を重ねていたかっただけなのに、
私は、知りたくもなかった痛みを知った先で、
胸を張って、今の自分が好きだと言える私へと成長することが出来たのです。
私は、今の私へと成長できたことが、
とても誇らしくて、とても苦しくて、胸の奥が痛い。
どうすることも出来ない痛みを、心の真ん中で受け止めながら、
どうしようもなく溢れ出してしまう、私の幾つもの想いを、
静かに、大切に、見つめ続けました。
過去の自分が目標としていた自分になれたことが、
これ程までに、激しい痛みを伴うものであるだなんて、
知らなかったよ。
どうしようもない感情を感じ切ってみれば、
私は着実に、今世での私のやるべきことを遂行出来ているのだと、
こんな視点をひとつ見つけることが出来ました。
史上最高かどうかはさておいて、来世の私は、
あの頃よりも、良い女として、
あなたの前に登場できることだけは、きっと約束出来るのでしょう。
だから私は、このまま真っ直ぐに歩めば良い。
あなたがいないこの世界を歩み続けることは、
時に、矛盾した気持ちを抱えながら歩むことであり、
そこにはきっと常に、痛みが伴うけれど、
知らなかった痛みを見つける度に、私はこうして咀嚼し続けながら、
此処から先も、この人生を大切に歩み続けて行くよ。
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