あなたへ
梅雨入りしたばかりである筈なのに、夏によく似た季節がやって来て。
青空の下を歩む日々にも、ただ風を感じることにも、
幸せな気持ちを感じながらも、
あなたと見ていた季節は、あの頃のままであってくれたらと願ったのは、
先日のことでしたが、
ここ数日のこちらでは、また雨や曇りの日が続くようになりました。
夏が好き。青空が好き。
こんな私だけれど、ここ数日の私が愛おしいものを見つめるかのように、
とても梅雨らしい空の色を見つめたのは、
先日の私が、季節という視点からこの世界を見つめてみても、
少しずつ、あなたが知らなかった世界へと変わり行くのかも知れないと、
こんな視点を見つけたからでした。
季節という視点から、記憶を辿ってみれば、
思えば、私たちが子供だった頃の夏には、夕立と呼ばれる雨がありました。
夕立が去った後には、涼しい風が吹いて。
夏の季節に感じられる涼しい風には、特別な心地良さがありました。
いつから夕立と呼ばれる雨が降らなくなったのだろう。
いつの頃からか、ゲリラ豪雨と呼ばれる雨が降るようになって、
激しい雨が去った後には、蒸し暑さが残るばかりとなって。
私がこの世界へと生まれ落ちてからの、覚えている限りの季節を比べてみれば、
ほんの僅かにずつ、でも、確かに、
変わり行くものがあると言えるのでしょう。
いつの間にか、夕立という言葉が聞こえなくなったように、
いつかは、梅雨という言葉も、聞こえなくなってしまうのかも知れません。
あなたを見送ってから、20年が経ち、30年が経った頃の6月の私は、
どんな空を見上げているのかしらね。
此処に戻って来た梅雨の空を見つめながら、
今、目の前に広がるこの空の色を、大切に覚えておきたいと思いました。
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