あなたへ
2個食べても良いですか?
良いですよ
これは、夢の中の私の独り言です。
夢の中の私が器へと移したのは、味付けたまご2個です。
これは、あなたのお父さんからいただいたものでした。
あなたのお父さんの夢を見ました。
それは、家に来てくれたあなたのお父さんから、
味付けたまごをたくさんいただくという夢でした。
きっとお父さんは、私に、
味付けたまごを届けるためだけに、来てくれたのでしょう。
いつの間にか、お父さんは、この家から姿を消していました。
この家に、再びひとりになった私はやがて、食事の準備を始めたのですが、
冷蔵庫内を確認しながら、
お父さんからいただいた味付けたまごを食べようと器に移した筈なのに、
そこで目が覚めてしまったのです。
え?まだ食べてないのに
目が覚めて、なんだか落胆してしまったのは、
その味付けたまごが、とても美味しそうだったからでした。
これから食事という時に目が覚めてしまうだなんてと、
目が覚めたタイミングを恨めしくも思いながら私が思い出していたのは、
あなたが、見たこともないお味噌汁を作ってくれた夢を見た日のことでした。
思えばあの日の私も、
折角のお味噌汁の味を知る前に、目が覚めてしまいました。
過去には、夢の中で誰かと食事をするという夢を見たことがあります。
夢の中で食事をするということは、きっと可能なのでしょう。
それなのに、そちら側へと見送った人から貰ったもの、
或いは作って貰ったものを食べる前に、
目が覚めてしまうのは、何故なのでしょうか。
夢の中。
そこは確かに、そちら側とこちら側とを繋ぐ場所であると私は考えていますが、
2つの世界が繋がる場所でありながらも、やはりそこには、
曖昧にしてはいけない何かがあって、
どんなにすぐ側に寄り添うことが出来たとしても、
全ての隔たりを無くすことは出来ないということなのでしょうか。
もしも、夢の中にもまた、何かの隔たりが存在するのだとしたのなら、
なんだか寂しさを感じてもしまいますが、
その線引きは実は、
真逆の世界で存在する私たち互いを守り合うための何か、なのかも知れませんね。
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