あなたへ
筋トレを始めて、暫くが経った頃から、
実は私は、大きな悩みを抱えることとなりました。
筋トレを始めてから、どれくらいが経った頃からだっただろう。
なんだか私という存在が、太くなったような気がしていたのです。
少しくらい筋トレをしたって、太くならないから大丈夫だよ
これは、筋トレについてを力説してくれたあの日のあの子の言葉です。
あの日の私は、
筋肉は、大きくすることをちゃんと意識して努力をしなければ、
太くなることは絶対にないのだと、こんな説明を受けていたのです。
確かに。あの子の筋肉を一緒に育てた日々を思い返せば、
あの子は、頑張ってたくさん食べて、体重を増やす努力をしていました。
筋肉を大きくすることがどれだけ大変なことであるのかを間近で見ていた私は、
特に何の心配もせずに、筋トレから得られるあの感覚をただ楽しんでいたのでした。
それなのに、私に異変を感じるようになったのは、
いつの頃からだっただろう。
初めは、色々な服が、少しずつ縮んでいるような感覚がありました。
それでも、然程、気にすることがなかったのは、
あの、例のストレッチだってちゃんと頑張っていたからでした。
あの子にデブパンツと名付けられたあのパンツを、
立派に履き熟す私へと変えてくれたあのストレッチの効果は、絶大なのです。
それに加えて筋トレをしているわけです。
普段の運動量にプラスして、筋トレをしているわけですから、
私の体型は維持出来るという理屈で合っている筈なのです。
それなのに、様々な洋服が縮んで行くという現象が起こったのです。
初めは気のせいだと思うことにしていたこの現象と、
しっかりと向き合わなければならないのだと思う瞬間が訪れたのは、
ある一本のジーンズを履いた日のことでした。
ちょっとでも太くなれば、絶対に履けなくなる。
例のストレッチを頑張った結果を手に入れた私は、
やがてこんなジーンズを買ったわけですが、
このジーンズがね、私に問い掛けて来たのです。
あなた、随分と太くなったんじゃないの？と。
最近の私は、何かがおかしいと感じながらも、このジーンズを履いたあの日、
これまで通りの履き方では、
ボタンも留まらなければ、ファフナーも閉まらないと悟り、
もう、息を止めて、全身に、特にお腹辺りに力を入れて、
極限まで自分を細く仕上げて、ジーンズの中へと身体を収めたわけですが、
そうするとね、はみ出るわけですよ。
横に、取っ手のような何かが、しっかりと。
そうして私は、確信したのです。
私という存在が太くなったのだと。
太ったのではなく、太くなった。
こう表現することが相応しいと感じたのは、確かに筋トレの成果が、
しっかりと表れていることが体感出来ているからでした。
ですが、筋肉が増えても、勝手に他の存在が減るわけではなく、
太くなるという結果となってしまったのでしょう。
単純に筋トレから得られるあの快感を手に入れるためだけに、
日々、筋トレへと励んでいたに過ぎなかった私は、
このような事態が発生するなど、全く予想もしていませんでしたが、
何かを新しく始めるということは、
それに付随した何かもしなければならなくなるということなのかも知れません。
恐らくは、筋トレを辞めてしまえば、全てが元通りになるのでしょう。
ですが一度知ってしまったあの感覚は、私を強く魅了し続けて、それは自然と、
どうすれば筋トレを続けられるのかという道だけを模索することへと、
繋がって行きました。
筋トレをすると、太くなったように感じるが、
それは一時的なものであり、筋トレを続ければ、脂肪が減り、細くなるから大丈夫。
筋トレをしても、勝手に脂肪が減るわけではない。
少しだけインターネットで調べてみれば、
それぞれ別な主張とも取れる言葉が見つかりました。
様々な文字を追いながら、どれが本当なのだろうかと考えてもしまいましたが、
例えば、同じ薬、同じ化粧品でも、人それぞれに合う合わないがあるように、
私は、自分に合ったやり方を見つけなければならないのかも知れないと思いました。
因みに、食事面についてを少し話せば、一時は、食欲が旺盛だったものの、
徐々に落ち着き、今現在の私の食べる量は、
以前と変わらないか又は、少しだけ減ったような気もしています。
故に、食生活における問題点は、恐らくないかと考えています。
筋トレを始めてから、太くなってしまったのだと、
あの子にこんな話をしたのは、前回のあの子との電話でのことでしたが、
あの子は、とても驚いていました。
筋トレだけで太くなることはあり得ないと、
こんな話を聞かせてくれたあの子は、
筋トレをしても、意図せぬ形で太くなるという経験をしなかったからなのでしょう。
耳に届く誰かの言葉やインターネットという世界。
様々な場面で、様々な物事をこれが真実であると、語られていますが、
それが真逆の面から語られたものであったとしても、
悪質なものでない限りは、きっとどれもが本物なのでしょう。
実体験から得たその人の本物が、
必ずしも自分にも当て嵌まるものではないのかも知れないと、
今回の予期せぬ出来事では、ひとつ、新たな視点を見つけました。
それならね、有酸素運動を取り入れた方が良いよ
これは、私の悩みを打ち明けた日のあの子の言葉です。
もしもダイエットを意識するのであれば、有酸素運動が効果的であり、
筋トレだけで勝手に痩せるという効果は、
期待しない方が良いという話を聞かせてくれました。
長期的に見れば、その限りではないのでしょうが、
これは、可能であれば、
今すぐにでも、改善したいと考えている私へのアドバイスでした。
こうして、私の筋トレ生活の日々は、
筋トレ、時々、有酸素運動という新たな形へと整えられることとなりました。
ダイエットが目的でも、筋肉質になることが目的でもなく、
私は、筋トレから得られるあの感覚を手に入れることだけを目的としていた筈なのに、
今回は、予期せぬ課題と向き合うこととなってしまいましたが、
思えば、筋トレを始めてからの私には、
思いもしなかった様々な良い変化がありました。
今はまだ、新たに訪れてしまった課題と向き合っているところではありますが、
今回の課題と向き合い続けた先にもまた、
予期せぬ贈り物ののようなものも待っていてくれるのかも知れませんね。
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