あなたへ
夏の星空も、本当はこんなに綺麗なんだね
思わず小さく呟きながら、私が見つめていたのは、
撮ったばかりの星空の写真でした。
冬の方が、星がよく見えるんだよ
いつかのこんなあなたの言葉の通り、
視力が弱い私の瞳に映る星の数は、冬の方が多いようにも感じます。
夏は、あまり星が見えない印象を持っていましたが、
写真を撮れば、驚くほどに美しいその本当の姿に思わず感動して。
この瞳には映らなくなってしまった星たちを、よく見てみたくて、
写真を拡大して、画面に映る星たちを、
ひとつひとつ眺めていた私の中へと、ふと蘇ったのは、
子供の頃の私の瞳に映っていた夏の星空でした。
そう。あれはまだ、小学校へ上がる前の頃のことでした。
家族と、それから、近所に住むお姉さんと一緒に花火をしたあの日。
最後に線香花火を楽しんでから、暫し、談笑をして。
何気なく空を見上げれば、
あの日の私が見つけたのは、流れ星でした。
たくさんの星たちを彩るかのように流れた一粒の流れ星の姿に、
思わず息を飲んで。
私は、一瞬のその美しさを大切に集めるかのように、
今、見たばかりの空の色を、
自分の記憶の中で、何度も反芻してみたのでした。
あれは、私が生まれて初めて、流れ星を見た夜でした。
星空は、きっとあの頃から変わってなどいないのに、
変わってしまったのは、私の方で。
記憶の中に眠り続けていたいつかの夏の夜空を見つめてみれば、
やはり私は、随分とたくさんの大切なものを、
何処かに置き去りのままで、大人になったのだと思いました。
あの頃の私の手の中には、どんな大切なものがあったのだろう。
此処から見える本当の星空を知ったのは、
今年の始まりの日のことでした。
あれからの私は、
本当の星空の姿が教えてくれる様々な視点を見つけながら歩み、
この手の中へと戻った大切なものを数えて来ましたが、
相変わらずに、こうして時々、星空の写真を撮っては、
その美しさに見惚れながらも、同時に、大切だったものを取り戻す方法を、
何処かに探し続けているような気がしています。
私が何を失くして、何を取り戻せば良いのかも分からないままに、
まだこの手の中へと戻って来ていないものが、
何か、とてつもなく大きなものであるような気がして。
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