拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

霊柩車の乗り心地

あなたへ

 

例えば、夏の低い曇り空を見上げた時。

そして、8月に霊柩車を見かけた時。

私の中へと何度でも蘇るのは、あの日のことです。

 

あの夏からの私は、何度くらい、同じ記憶を辿っただろう。

 

セレモニーホールから、火葬場までの道のりの中、

絶対にここで泣いてはいけないと自分に言い聞かせながら、

必死で見上げた空の色は、

今でも忘れられない空の色をしていました。

 

泣き出しそうな低い雲が広がりながらも、

隙間から見える青がやけに澄んだ濃い青色で。

 

あなたを乗せた霊柩車の助手席から見上げた空。

必死で涙を堪えたあの、何とも言い難い胸の痛み。

両手に感じていたあなたの位牌の感触。

 

全てが鮮明に蘇れば、私は、逃げ場を見つけることが出来ないままに、

そこに感じる痛み全てを何度でも、感じ切って来ました。

 

あの日の全てをやり直すかのように、何度でも辿った記憶の中で、

不意に新たな視点を見つけてしまったのは、

あなたを見送ってから、何番目の夏のことだっただろう。

 

夫婦が2人揃って、最後に一緒に乗る車は、

霊柩車であるということに、初めて気が付いたあの日は、

それまで知らなかった新たな痛みを知ってしまった日ともなりました。

 

あぁ!もう!なんで?

なんで気が付いちゃったの?

もう・・・

 

霊柩車は・・・霊柩車はね!

乗り心地、最高だったよ

車のことはよく知らないけれど、きっと、高級車だからね

 

とても静かで振動も少なくて、

ついでに言えば、運転手の方の運転も、とても上手でさ

 

更に言えば、若くてイケメンな運転手の方だったんだからね

本当は、顔なんて覚えていないけれど、いいの

そういうことにしておくの

 

だからあなたは絶対に、霊柩車の助手席には、乗せてあげないからね!

 

何度生まれ変わったって、あなたはどんな時も霊柩車の後ろの席!

霊柩車の乗り心地なんて、絶対に味わわせてあげないから

・・・

あんな思い、あなたには絶対にさせないからね

 

これは、新たな痛みを知ってしまった日の私の長い独り言でした。

 

今日のこちらでは、朝からよく晴れた空が見えました。

特に霊柩車を見たわけでもないにも関わらず、今日の私が、

あの日の記憶を辿ってしまったのは、何故だったのだろう。

 

新たな視点を見つけた日の私は、

それまで知らなかった新たな痛みと向き合うことにもなってしまったけれど、

こうして振り返ってみれば、

長い独り言の中で、

何度生まれ変わっても、何度でも私があなたを看取ると、

いつかの私の決意を、改めて固めた日でもありました。

 

もしも、もしもね。

見送る側とならなければ学べない何かがあるのだとするのなら、

私のこの記憶を、そして、来世も、そのまた来世の記憶も、

あなたに半分、分けてあげるから。

 

だからあなたは、必ず、

私よりも、少しだけ短い人生を選んで生まれて来てね。

 

 

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