夫がすぐ隣にいる?
そして、手を繋いでいる?
いやいや。そんな筈はないじゃないか。
相変わらずに右手に感じる温もりをそのままに、
私は、一旦、空を見上げてから、何度か瞬きをして、
もう一度、視線を戻してみた。
でも、やはり、いる。夫が、此処に。
『俺のこと、見えてる?』
先に口を開いたのは夫の方だった。
「うん。思いっきり見えてる。」
こんな私の言葉に夫は突然に、私の手を離すと、頭を抱えて座り込んでしまった。
『あー!クッソ!あの時だ!』
という言葉の後には、小さくヤバい、ヤバい、と繰り返している。
「えっと・・・」
の後が続かずに言葉に詰まってしまったのは、
どうやらこれが、奇跡の再会的な素敵な場面などではないことが分かったからだ。
逢いたかった筈の夫が目の前にいる筈なのに、
どう振る舞ったら良いのかも分からずに、暫く立ち尽くした後、
漸く掛けるべき言葉を見つけたけれど、
そうだ、一旦落ち着こうと呟きながら、スッと立ち上がった夫の方が、
またしても先に口を開いた。
手でも繋ぎますかって。
不器用に、私に手を差し出しながら。
こうして、私たちの7日間が始まったのだ。