拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

亡き夫と過ごした7日間 9

夫の話は、何もかもが驚く話ばかりだ。

一息吐きたくて、コーヒーへと手を伸ばせば、

夫の分のコーヒーが、一口も減っていないことに気が付いた。

 

「あれ?コーヒー。飲まないの?」

 

さっき、確かに一緒にコーヒーを飲んでいた筈だったのに。

 

『俺は、もう、飲むことも食べることも出来ないよ。

この世界に生きているわけじゃないから。

でも、香りは楽しむことが出来るんだよ。だからコーヒーを淹れてくれて嬉しいよ。』

 

そう言ってコーヒーに手を伸ばすと、香りを嗅いでいた。

さっき、一緒に飲んでいるように見えていたのは、

コーヒーの香りを楽しんでいただけだったのだ。

 

夫は、薬品の力により物質化されただけであって、肉体を持ったのとは違う。

触れれば温かいし、声も聞こえる。

でも、夫はもう、生きている人間ではない。

 

 

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