拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

亡き夫と過ごした7日間 24

「この彼女は、今も何処かで元気にしてるの?」

 

これはあの子からの質問だ。

 

『いや。この人生を全うして、こっちに還って来ていたけれど、また生まれたよ。

今頃、赤ちゃんだと思うよ。』

 

その魂は、今回のマイナスのエネルギーが届くようになった問題で、

急いで生まれ変わった魂のうちのひとりなのだと言う。

 

とにかく幸せに生きる。

自分と出会った人たち皆が、

幸せに生きることに目覚めてくれるような人間として生きる。

こんな目標を持って、新たな生を歩み始めたばかりなのだそうだ。

 

『あぁ、ついでに話しておくとね。』

 

この弁当屋のご夫婦と彼女は、

この生の前の生、即ち、前世では、親子だったのだそうだ。

 

彼女は今回の生でも、このご夫婦の間に生まれる人生を選んだのだと言う。

 

「また私たちの元に生まれてらっしゃいよ。

今度は別な形での幸せを一緒に作って行きましょうね。」

 

向こう側で、こんなふうに約束を交わして生まれたのだそうだ。

とんでもなく強いエネルギーを発する親子になりそうだ。

 

『繋がりが強い魂ってね、前世でも、そのまた前世でも、

こんなふうに関わり合うようになっているものなんだよ。』

 

「え?ということは、私たち家族も?」

 

『勿論、そうだよ。』

 

「え?前世ではどのような・・・。」

 

『俺は教えないよ。全部、自分で考えて。さっきも言ったでしょ。』

 

夫は笑っている。

 

これもまた、自分で答えを見つけなければならないのだろう。

でも、きっといつか、見つかるのだと思う。これだと思える私だけの真実が。

 

「いやーなんだか、凄いね。

俺、今、人生ってものが全然違うものに見えて来たわ。」

 

こんなあの子の声に私も頷く。

私も今、あの子と全く同じ気持ちを感じている。

 

今日、何杯目かになるコーヒーを淹れた。

それぞれにマグカップを持って、コーヒーの時間を楽しんでいたが、

ふと、あの子が顔を上げて言った。

 

「今の彼女の人生ってさ、全てがよく出来ているような気がする。」

 

『そりゃそうだよ。誰の人生も、綿密に計算されているから。

実はちゃんと、幸せに生きられるように出来ているのが人生なんだよ。

でも、幸せに生きるのって、簡単なことじゃない。

だから囚われたままで人生を終えてしまう人がいたり、

囚われたままを望んで生きる人がいるの。

だって、囚われたままの方が楽だからね。幸せではないけれど、楽ではある。』

 

「あぁ、なるほどね。でも、なんかさ、勿体ないよね。折角生まれて来たのにさ。」

 

こんなあの子の声に頷きながら、

彼女の人生についてをもう一度、反芻してみた。

 

幸せに生きることは、とても難しい。

でも、私は、常に努力し続ける人間でありたい。彼女のように。

 

あの子もまた、彼女の人生についてを反芻していたのだろう。

コーヒーを一口飲むと、ポツリと言った。

 

「この彼女の人生で言うのなら、

もしもご近所問題がなかったら、ずっと幸せに暮らすことになったよね。

変な言い方だけど、それはそれで飽きるよね。」

 

マイナスのエネルギーが存在するこの世界には、

そんな人生など、ないのかも知れない。

でも仮に、あの子が言うような人生があるとするのなら、

確かに、よく考えてみれば、飽きるのかも知れない。

 

『そう。人ってね、飽きるんだよ。現状維持に。』

 

こんな夫の言葉に、なんとも欲深い生き物だと、冗談めかしてあの子が言えば、

それは欲深いわけじゃないよと夫が言う。

 

『現状維持に飽きることは素晴らしいことなんだよ。

だって、更に幸せになることを目指そうとするのだから。』

 

そうして夫が次に聞かせてくれたのは、ちょっと不思議な視点だった。

 

『自分の人生にしっかりと向き合って生きることってね、

現状を維持しようとは思わなくなることでもある。

どうしても次を見つけたくなってしまうものなんだ。』

 

更なる幸せへのステップに進みたくなる。

それが自分の人生と向き合っていることとも言える。

そしてそれは、時に来世の目標を見つけることにも繋がる。

 

『自分の人生にちゃんと向き合って生きるとね、やがて気が付くんだよ。

ひとつの人生だけでは足りないということに。』

 

そうして語られたのは、例のゴリラの人の話だった。

 

 

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