あなたへ
バナナはおやつに入らないからね
これは、なんの脈絡もなく突然に、昨夜の私の中へと蘇った、
いつかのあなたの声でした。
小さく笑いながら記憶を辿れば、その日の記憶は、直ぐに見つかりました。
そう。あれは、私たちが出会ってから初めての、遠出の前夜のことでした。
明日は、この時間に迎えに行くよ
おやつは300円迄ね
それから、バナナはおやつに入らないからねって、
あの日のあなたは、小学生の遠足みたいなことを言い出して。
あの時の私は、あなたの声に笑いながらも、
小学生だった頃の遠足の前日には必ず聞こえていた、
先生!バナナはおやつに入りますか?という質問は、
全国共通なのだろうかと、こんなことを考えていました。
それなら、女子の間で交わされていたティッシュペーパー交換の儀も、
実はあなたが育った環境の中にも、存在していたのかも知れませんね。
男子だったあなたが、もしも、
あの、謎の儀式を目撃していたとするのなら、
あなたはどんな気持ちであの儀式を見つめていたのでしょうか。
もしも今、あなたと2人で、
小学生時代に見ていた景色を話し合うことが出来たのなら、
実は幾つもの共通する記憶を、見つけることが出来たのかも知れません。
そう。例えば、透明半球やカラーコーンは、頭に被って遊んだし、
バリアの変なポーズを決めれば、どんな強敵も近寄れない、
最強人間になれました。
大体の教科書の隅には、棒人間がいたし、
誰かとのちょっとした言い争いの定番の台詞と言えば、
いつ言った?何時何分何秒?地球が何回まわった時?でした。
全く別な環境で育った私たちだけれど、
こうしてひとつひとつの記憶を手繰り寄せていけば、
同じ場所で育って来たかのようにも感じられたのかも知れません。
因みに、バリアのポーズは、どんなポーズだった?
もしも今、あなたにこんな質問をすることが出来たとしたのなら、
あなたはどんなポーズを取るのかしらね。
私が育った環境では、男女で別なポーズがありました。
ねぇ、あなたが育った環境では、どうでしたか。
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