拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

夢の中のあなたへ置いて来たもの

あなたへ

 

とても不思議な夢を見ました。

 

夢の中の私は、誰かと何かの活動をしていました。

活動の中で小銭が必要になった私は、自販機でお金を崩すことにしたのですが、

見つけた自販機は、暗闇の中に設置された自販機で。

 

暗闇が纏う空気感に、ただならぬものを感じた私は、

出来るだけ早く此処から出ようと、急いで自販機にお金を入れたのでした。

 

出来るだけ、暗闇の奥の方を見ないように。

そんなふうに意識していた筈だったのに、何故だか妙に暗闇が気になり始めて。

好奇心に負けた私が暗闇を見つめれば、急に暗闇が割れて、隙間から光が射して、

やがて見えたのは、幼いあの子と遊ぶあなたの姿だったのです。

 

あの暗闇はきっと、過去と繋がる場所だったのでしょう。

まだ若いあなたの姿と、幼いあの子を見つめながら、

私は、過去にタイムスリップしたのだと悟りました。

 

かつての私にとっての何気ない日常の一コマだった光景を、

そっと陰から見つめていた私を見つけたのは、幼いあの子でした。

 

ママーー!!

 

あの子は私を呼んでくれたけれど、でも、私は、ずっと先の未来から来た私です。

小さなあの子に僅かに微笑み返すと、あの子が追って来ないようにと、

私は、そっと物陰に隠れたのでした。

 

こうして思い返してみても、

なんだかとても不思議な夢だったと感じてしまうのは、

私だけが、2人とは同じ世界に存在していなかったからなのかも知れません。

 

私だけが、あれから先を知っていて、

私だけが、年を重ねていて。

 

本当は、2人の側に駆け寄りたいのに、

陰から、そっと2人の姿を見つめることしか出来なかった私は、

幼いあの子と遊ぶあなたへ、想いをひとつ置いて来ました。

 

生まれ変わったら、今度は、ずっと一緒にいよう。約束だよって。

 

夢から覚めた私が、何度でも、あの夢の中を反芻してしまうのは、

まだ若かったあなたの笑顔も、そして、あの子の無邪気な声も、

その全てが、とてもリアルだったからなのかも知れません。

 

胸の奥に見つける小さな痛みは、

上手に隠せるようになった筈の私の本当の気持ちを、訴え続けて。

 

こんなことなら、2人に駆け寄って、思い切り抱き締めれば良かったな。

 

あれ?急に老けた?なんて、あなたに笑われたとしても、

何も知らない振りをして、かつての私の手の中にあった日常生活を、

もう一度だけ、過ごすことが出来たのならと、今日の私は、

ほんの少しだけ後悔したけれど、

でも、よく考えてみれば、あれで良かったのかも知れません。

だってほら、あなたはとても勘が鋭いから。

 

随分と、年上になった私が登場して、

突然にあなたを抱き締めてしまったのなら、

勘の鋭いあなたはきっと、未来を予測してしまうもの。

 

いつかの私は、もしも、

あの頃のあなたの側にいる私に、逢いに行くことが出来たとしたのなら、

あの頃の私に何を伝えるのだろうかと、こんなことを考えたことがあったけれど、

きっと、過去の自分にも、そして、過去のあなたにも、何も伝えてはいけないのよ。

 

あの、ただ楽しそうな2人を、

陰から見つめるだけに止めることが出来た夢の中の私は、

あなたに、いつも通りの日常を置いて来ることも出来たのかも知れないと、

ひとしきり後悔した後で、こんなふうに行き着くことが出来ました。

 

私が見た不思議な夢は、目が覚めた後の私へ、

小さな痛みと向き合わせて、様々に考えさせる時間をくれました。

 

まさか、夢の中での出来事に、

こんなにも考えさせられるだなんてと驚いてもしまいますが、

実は、あの選択を取ることが出来た今の私にだから、

見ることが出来た夢でもあったのかも知れませんね。

 

 

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