あなたへ
例のゲームをしながら、
眠りへの入り口を探していたのは、昨夜の私です。
私がこのゲームを楽しみ続けることが出来るのは、
このゲームだけが特別であるからなのだと、こんなふうに気が付いたのは、
今年の夏のことでしたが、
思えばこれまで、あの夏からずっと先へと歩まなければ、
見つけることの出来なかった視点が、たくさんあったなと、
ゲームを楽しみながらも、ぼんやりとそんなことを振り返っていました。
11年間、何も気付かずに、このゲームを楽しみ続けていたことには、
勿論、衝撃を受けたけれど、
実はあなたは、此処から居なくなってしまっても、
私たちが家族になる前にしてくれた約束を、守り続けてくれていたのではないかと、
こんな視点を見つけたことも、私にとってのとても大きな視点でした。
そして、あの、なぞなぞみたいなあなたが遺した言葉の意味を知った日も、
こうして振り返ってみても、とても印象に残る出来事でした。
新たな視点を見つけることが出来るのは、成長を重ねた時であるのだと、
いつかの私は、こんな視点を見つけたけれど、
きっと、そこに成長が必要であるのには、
理由がちゃんとあるのかも知れないなって、
昨夜は、ふと、こんな視点を見つけました。
もしも、あの夏から然程、前へは歩んでいない頃の私が、
今の私が持つ視点、全てを集めていたのなら、
私は、何処かにあなたを探し続けたままで、
一歩も前へは歩むことが出来なかったのかも知れません。
不思議な視点や素敵な物事が、あの夏から先へと散りばめられているのは、
私が立ち止まってしまわぬように、
ちゃんと前へと歩むことが出来るようにと、
実は、そんなあなたの想いが籠っているのではないかと、そんなふうにも思えました。
こうしてひとつ、新たな視点から、これまでの流れを見てみれば、
あの子と一緒に遺品整理をした日に、何故だか私の口から出て来た、
直ぐには、
その意味を分かってほしくなかったからだと思うよというあの言葉の意味とは、
あなたが書き遺した文字の意味だけでなく、
実は全てに関する視点を指しているようにも感じました。
新たな視点を見つける度に、私は何故、これまで気が付かなかったのだろうかと、
毎度、首を傾げてもいたけれど、それはきっと、
あの日の私の口から出て来た言葉の通り、
直ぐには分かって欲しくなかったからなのかも知れませんね。
私が前へと歩み続けることは、
あなたが掛けた様々な魔法を解くことでもあるのかも知れません。
あなたが掛けた魔法によって、封印されている視点は、
あと、幾つくらいあるのでしょうか。
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