あなたへ
前髪を切りながら、また新たな切り替えのタイミングが来たのだと、
気持ちを改めていたのは、昨夜の私です。
私にとって、前髪を切る時というのは、きっと切り替えのタイミング。
私の人生は、そんなふうに出来ているのかも知れないと、
初めてこんな視点からこの人生を見つめてみたのは、3年前の夏のことでした。
あの年の夏は、あなたを想い、たくさん泣いていたけれど、
あれから先で、私は、あなたを見送ってからの8年間は第一章、
そして、次に始まったのはきっと、第二章であるのだと、
私なりの区切りのようなものを見つけることが出来たのでした。
第一章の最後の夏でもあった3年前の夏に、私がたくさん泣いていたのは、
後に迎える区切りのためでもあったのかも知れないと、
こんなふうに振り返った日がありましたが、
前髪を切り揃えることが私にとって、新たな切り替えのタイミングであると、
こんな視点を見つけることが出来たのもまた、
3年前の夏にいた私が、たくさん泣いていたからこそ、だったのかも知れません。
前髪、俺が切ってあげるよ
こんな言葉と共に、初めてあなたに前髪を切って貰ったのは、
私たちが家族になってから、どれくらいが経った頃だったでしょうか。
こうして改めて、私の前髪という視点から、ずっと過去を振り返ってみれば、
あなたと家族になる前の私は、確かに、
自分で前髪を切り揃えることが当たり前でした。
いつの頃からか、あなたに前髪を切って貰うことが当たり前になって、
私にとっての前髪が、特別な意味を持つようになって。
あなたと出会う前の私が、
どんな心境の時に前髪を切っていたのかだなんて、
もう、思い出すことは出来ないけれど、
実は、ずっとずっと前から、私が前髪を切るタイミングというのは、
何かしらの切り替えの時であったのかも知れないと、
昨夜の私はふと、こんなことを考えました。
そんなことなど、何も考えないままに、
何気なく前髪を切り揃えていた私だったけれど、
私の前髪に、あなたという存在が大きく介入したことで、
それが特別なものへと変わって。
実はあなたは、長い年月を掛けて、私に新たな視点を持たせるために、
私の前髪に関わってくれていたのかも知れないと、そんなふうにも思えました。
切り立ての前髪を見つめながら、昨夜の私は、
密かに、ずっと過去から続く静かなストーリーを思い描いてみました。
起こる物事に、無意味なことなど、なにひとつとして、ないとするのなら、
この視点もまた、強ち、間違いとは言えないのかも知れません。
こうして、これまでとは全く別な視点から、私の前髪についてを考えてみれば、
3年前の夏の私が泣いてばかりいたあの時間には、
私が思っていたよりもずっと深い意味が、
隠されていたと言うことも出来るのでしょう。
さて。少しだけ目に掛かってしまっていた前髪を切り揃え、
私の視界を遮るものは、何もなくなりました。
しっかりと休息の時間を取って、スッキリと前髪を切り揃えた私は、
これからどんな景色の中で、何を見つけることが出来るのでしょうか。
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