あなたへ
こちらでは、今日も、冷たい風が吹きました。
こんな日は、おでんが美味しいです。
今日の私は、温かなおでんを食べながら、ふと、
これもまた、あなたが知らない味であるのかも知れないと、
こんなことを考えていました。
昨年から、我が家のおでんの定番として仲間入りしたのは、白菜です。
これは、あの、早い流れの中で出会った方から教わったものでした。
うちではね、おでんに白菜を入れるのよ
食べやすい大きさに切って入れるだけなんだけれど、美味しいよ
おでんに白菜という発想がなかった私は、その言葉に僅かな衝撃を受けましたが、
早速、我が家でも試してみれば、とても美味しくて。
そうして我が家のおでんにも、白菜が、新たに加わることになったのでした。
昨年の私は、何度くらい、おでんを作っただろう。
白菜が入ったおでんは、私の中では、
馴染みのあるものへと変わりつつありますが、
思えば、これは、
あなたが知らない我が家のおでんの形なのだと、気が付いてしまいました。
ねぇ、あなたは、
白菜が入ったおでんを食べたことがあるのかな。
あの子が巣立ち、いつの間にか、ひとりで摂る食事にも慣れたけれど、
こうして新たな疑問をひとつ見つければ、
上手に隠せるようになった筈の本音が、静かに顔を出してしまったから、
本音を呟く代わりに、
あなたの分まで食べておくよと、小さく呟いて。
無心で箸を動かせば、
なんだか今夜は、少し食べ過ぎてしまったけれど、
今夜の私は、何度でもやって来る痛みと向き合う新たな方法を、
またひとつ、見つけることが出来たのかも知れません。
あなたを見送ってからの私は、幾つくらい、
あなたにも食べて欲しいものを作れるようになっただろう。
新たな出会いが訪れれば、こうして私は、苦手な料理に関しても、
様々に進化をし続けて行くけれど、
胸の奥に小さな痛みを感じたらね、
あなたの分まで、食事を楽しんでみるよ。
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