拝啓、空の彼方のあなたへ

きっと、空に近い場所にいるあなたへ伝えたいこと。手紙、時々、コトバ。    <夫と死別したemiのブログ>

四十九日の法要を控えていた日のあなた

あなたへ

 

そういえばあの日。

 

私の中へと不意に蘇ったのは、

あなたを見送ったばかりの頃のことでした。

 

そう。あれは確か、

あなたの四十九日の法要の前日の出来事でした。

 

あの子と一緒に外出をしたあの日。

お腹が空いたと言うあの子に何か食べさせようと、

コンビニエンスへ立ち寄ることにしたのですが、

あの日のあの子が選んだパンを見て、私は密かに、とても驚いていたのでした。

 

お腹が空いたあの子がパンを選ぶ時は、コロッケなんかが挟んであるような、

食べ応えのあるものを選ぶ筈なのに、

何故だかあの日のあの子が選んだものは、それとは全くかけ離れたものだったのです。

 

様々な種類のあるものからあの子が選んだのは、モンブランのパン。

あなたが、最も好んでいたものでした。

 

あの日の私は、なんだか、あの子の身体を借りて、

あなたがパンを食べているみたいだと、こんな不思議な気持ちで、

あの子の姿を見つめていたのでした。

 

あの夏からのあなたが、

私に見せ続けた不思議な出来事の数が増えれば増える程に、

私に見える世界もまた、少しずつ変わり続けて行きました。

 

記憶の奥へと仕舞われてしたあの日の出来事を、こうして改めて思い出してみれば、

今なら、はっきりと断言することが出来ます。

あれはやはり、紛れもなく、あなただったのでしょう。

 

俺、これが一番好き

 

あなたは、あのモンブランのパンが大好きで、

買い物へ出た先で偶然それを見つければ、

いつでも、それを選んで買っていましたっけ。

 

四十九日の法要を前日に控えていたあの日のあなたは、

その姿が見えないままに、

きっと、私たちと共に車へと乗り込んでいたんだね。

 

そうしてきっと、この世界を旅立つ前に、もう一度と、

あの子の身体を借りるようにして、

大好きなモンブランのパンの味を楽しんでいたのでしょう。

 

あれから、幾度となく、お腹が空いたと言うあの子と一緒に、

コンビニエンスで買い物をしましたが、

あれからのあの子は、一度も、あのパンを選ぶことはありませんでした。

 

これは実は、

今日の私の推測が、正しいものだと言える証拠でもあるのかも知れません。

 

ねぇ、あなた

美味しかった?

 

もしもあの日、パンを食べ終えたあの子に、こんな声を掛けていたとしたのなら、

あなたは間違えて、返事をしてくれていたのかも知れませんね。

 

今日は、不意に蘇ったあの日のことを、ゆっくりと振り返りながら、

今の私にピントを合わせて、改めて、

あなたが見せてくれた不思議な時間を、大切に集め直すことが出来ました。

 

年末の忙しないこの時期ですが、なんだか、

とても素敵な時間を過ごすことが出来ましたよ。

 


P.S

あの日の出来事を不意に思い出し、

12歳だったあの子の姿を鮮明に振り返った今日でしたが、

不思議なことに、先程、

あの子から突然に、今日、そっちに帰るよとの連絡がありました。

まだ詳細は分かっていませんが、

きっと間も無く、あの子の元気なただいまの声が聞こえて来るのでしょう。

とても楽しみですね。

 

 

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