あなたへ
私がお世話になっている美容室の前を通り掛かりながら、
ふと、いつかの店主が見せてくれた瞳を思い出していたのは、
先日のことでした。
いつも私の髪を切ってくれる彼についての手紙を綴ったのは、
いつの頃のことだったでしょうか。
あの頃の私は、彼はきっと、
幼い頃から変わらない瞳を持つ人であるのだろうと、
こんな文字を綴りましたが、
思えばあれからの私は、随分と、新たな視点を集めることが出来ました。
改めて、彼が見せてくれた瞳や、聞こえた声を思い返してみれば、
彼にもまた、大切なものを何処かに置き去りに、
懸命に大人になろうとしていた頃があったのかも知れないなと、
今の私には、そんなふうにも思えました。
僕らが若かった頃はね
彼は時々、自身が辿った人生の中で見つけたものを、
面白おかしく語って聞かせてくれますが、
きっと、その裏側には、苦悩や、葛藤なんかが隠れていて。
本当は、試行錯誤を繰り返しながら、
必死に大人になる努力を重ねていた頃だって、きっとあったのでしょう。
あの日の彼が見せてくれた少年みたいな瞳は、
実は、ひとつひとつ、大切だったものを取り戻した先を、
見せてくれた瞳であったのかも知れません。
ひとつひとつ、年齢を重ね行きながら、私の手の中にも、少しずつ、
私にとっての大切だったものたちが集まるようになりました。
いつか私も、あんなふうに、
誰かをワクワクとさせられるような瞳で、何かを語ることが出来たら良いなと、
先日の私は、まだ取り戻してはいない何かに想いを巡らせながら、
ずっと先の私に見える景色を思い描きました。
その頃の私は、何を取り戻し、どんな視点を見つけているのでしょうか。
1ページ目はこちらより↓↓