あなたへ
通り慣れた道を運転をしながら、あの日は、大変だったなと、
今日の私が振り返っていたのは、先日のことでした。
あの日は、普段の私にはあまり縁のない土地へと出掛けた日でした。
事前に、携帯電話のアプリで地図も確認しておきました。
とても簡単に行ける場所でしたし、
行きたい先をセットさえすれば、アプリのナビが、
そこまで連れて行ってくれるわけですから、あの日の私は、安心して出掛けのです。
行きはね、アプリで確認した通り、とても簡単だったのです。
思っていたよりも、早くに目的地へと到着することも出来たし、
全てが順調でした。
それなのに、帰り道での私は、もう、泣き出しそうになりながら、
とても頑張って帰宅することとなってしまったのです。
あの日は、すっかりと日が落ちて、暗くなってしまってからの帰宅となりましたが、
ナビの声に従って進んで行けば、何故だかどんどん細い道へと案内されて。
やがては、車が1台しか通れない幅の道が続いていったのです。
私は、車の運転が得意ではありません。
暗い時間帯に、そのような道を通るのは、
私にとってのレベルの高すぎるものなのです。
向かう時には、こんな道を通ってはいない筈であることから考えてみれば、
恐らくは帰宅ラッシュを避けた近道であり、
先へと進めば大通りに出るのであろうと考えた私は、
早くこの細い道を抜けねばと、ひたすらに前を向いて運転をし続けました。
それなのにです。
どうか絶対に、対向車が来ませんようにと祈ったばかりだというのに、
あろうことか対向車が来てしまったのです。
幸いにも、
ちょっとした駐車スペースのような広くなった場所を横目に見たばかりでした。
私が少しだけバックする形で、すれ違うことが出来たのですが、
なんだかそこで心が折れてしまったのは、
何の建物も見当たらず、そこがただの真っ暗闇の中であったことと、
既にその日の力は使い果たして、疲れていた私だったからなのかも知れません。
そのままそこに駐車して、アプリの地図を確認してみましたが、
近くに目印となるような建物も見当たらず、
自分がどこにいるのかが、本当に分からなくなって、
あなたの名前を呼びながら、泣き言を並べてしまいました。
こうして思い返せば、なんだか笑ってもしまうけれど、
あの時の私は、それどころではありませんでした。
だって、ずっとそこに停まっているわけにもいかないのに、
通る道を変えたくても、どこへ向かえば良いのかが全く分からなかったのですから。
それからの私がどうしたのかと言えば、
結局は、ナビの案内に従って、細い道を通ることにしました。
対向車が来ないことを祈って、
そのままナビ通りに従って進むことを決心したのです。
改めて出発してから、どのくらいを進んでからのことだっただろう。
1台だけ、またしても対向車とすれ違うこととなってしまいましたが、
丁度、すれ違える場所であった為、スムーズに直進することが出来、
やがては、よく知っている通りに出ることが出来ました。
いつかの私は、実はあなたが、
道案内をしてくれていたのではないかと思えるような道を通って、
帰宅したことがありましたが、
先日のあれもまた、実はそうではないのかとも考えてしまったのは、
対向車とすれ違える箇所が殆どない道であった筈なのに、
すれ違わなければならなかった2回ともが、偶然にも、
苦労せずにすれ違うことが出来たからでした。
ほらね。大丈夫だよ。
この道を通れば、渋滞に巻き込まれずに帰れるんだよって、
実は、何処かで、あなたはこんなふうに、声を掛けてくれていたのかも知れませんね。
とは言えです。
本当なら、予定よりも早くに帰宅出来たのでしょうが、
車を停めて、泣き言を並べたあの数分間のお陰で、
今回は、予定よりも、少し遅くの帰宅となってしまいました。
やはり私には、あなたが好む道はレベルが高すぎるのです。
思えば、ナビを使うことが当たり前ではなかった頃の私は、
周りの景色をよく見つめて、道を覚える努力をしていた筈なのに、
ナビという存在が当たり前となってからの私は、
その声に従うばかりで、どこの信号を曲ったのかなど、
そこにある景色を注意深く見つめることをしなくなりました。
便利になった世の中ではあるものの、運転が得意ではない私には、
自分で道を覚えるという努力も必要だなと感じてしまった出来事でした。
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